2022年8月4日(木)

なぜ80年代のシャンパーニュを飲むのか?

 

それは現在手に入る中で一番若く

 

(40年経っても)、

 

かつ理想的に飲める最後の年代だと思う。

 

というのは、1950年3000万本、

 

1963年6400万本、1971年一億本、

 

1985年一億5千9百万本、

 

2014年3億5百万本と

 

畑の広さがあまり変わらずに

 

生産量が増えると共に、

 

味が薄いものが増えてしまっているから。

 

そんな訳で限られた条件の中で集めたものが

 

今回のワイン達で、最初はマム。

 

ラベルが草臥れているせいで、

 

あまり期待されなかったようだが、

 

飲んで一同驚愕。

 

ある方は「これは普通トリのワインだよね」と。

 

「こんなトリになる物並べて飲んではもったいない」

 

とお褒めの言葉を頂戴してしまった。

 

次のNVも知名度は低いが

 

’89コンクール金賞受賞で

 

穏やかな語り口はとてもNVとは思えない

 

ワリス&シュネイエ。

 

続く’85はシャルルラフィット。

 

現在はポメリーの傘下になっているが、

 

マムのルネラルーと同じボトルを使っている様で、

 

キュヴェも奥行きがある。

 

4番目はドカステラーヌの最上品コモドア。

 

今までの4本の中で一番穏やかで伸びがあり、

 

半分まで氷を使わず20度まで温度を上げたが、

 

味が乱れなかったのは見事だった。

 

ただその上を行ったのが蔵出しのアンリグトルブ。

 

’95にここに買い付けに行った時の

 

思い出の1本で、

 

「ヨーロッパ域内に顧客が1000件あるから

 

日本に売らなくともいい」と言われ、

 

頼み込んで分けてもらったもの。

 

丁度その年にゴーミヨの年間大賞を取って、

 

フランス国内で注目されるようになり、

 

いいタイミングで’76,’81,’82,’85、’87

 

と日本に空輸した。

 

初めから輸出用にガス圧の調整等せず、

 

更に困ったことに

 

マロラクテイック発酵していなかったようで、

 

飲み頃が来たのがここ5、6年。

 

鮮度が良すぎるとこうなるの典型で、

 

他の同じ’85は

 

熟成香と色合いの変化が出ているのに、

 

これはブラインドで飲んだら15年いや

 

20年以上若い。

 

味の表情の豊かさは別次元で、

 

これだけ別にしないとバランスが取れない。

 

初めに一口づつ全種類確認した後、

 

つまみとのマリアージュを確認した。

左手前から,ワタリガニケジャン、ホタテスモーク、

 

がぜうにゼリー、

 

サラダ、エビとトマトのレモン煮。

 

ワインとの相性を考え少し工夫をしたのが、

 

ケジャンは水飴でなくハチミツを使い、

 

ホタテスモークはグレープシーズオイルでマリネ、

 

ゼリーはコンソメではなく昆布だし。

 

レモン煮はかつおと昆布だしを使った。

 

寿司は左から、ほうぼう2個、酒蒸たこ、うに塩辛

 

メインはアワビのブールブランソース

 

このソースにも旨味を追加するために、

 

あさりの酒蒸のだしに昆布を入れたもので、

 

エシャロットを煮詰る。

 

バリバリのフレンチよりも程よい距離感と、

 

熟成の効いたマリアージュを楽しんで

 

頂けたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022年8月1日(月)

初めてこのブログを見る方もいらっしゃると

 

思うので1980年代以前の

 

ワインの扱いについて説明します。

 

色々と説はありますが、

 

私がやってみて良いと思ったものは

 

以下の通りです。

 

40年近く空気に触れていなかったワインは

 

コルクを抜いても直ぐには酸化せず、

 

当然香りも味もそして色も出ません。

 

ではどのタイミングで抜栓して

 

空気に触れさせればいいか?

 

これが一番の問題。

 

インスタグラムでたくさんのフォロワーを持つ

 

フランソワ オドゥーズさんは、

 

飲む6時間前にコルクを抜いて

 

立てておくと言っている。

 

これも試してみたが、半分はそれでいいが

 

残りが開かないで終わってしまう。

 

出来れば飲み始めから全開で、

 

満開の花を愛でるように最後まで楽しみたい。

 

パニエやクレードル(読み方の違う同じもの)

 

にコルクを抜いた後寝かせて

 

30分から1時間待つのもやってみたが

 

映画の予告編を何度も見ているようで

 

不十分に感じた。

 

だから良く言われているセリフの

 

「このワインは明日美味しくなる」を実践して、

 

飲む前日に抜栓してすぐにコルクを差し戻し、

 

(コルクがない時はこれ)

 

https://www.globalwine.co.jp/shop/c/c302003/を

 

かぶせて24時間待つだけ。

 

もちろん冬場の赤ワインは

 

温度を20度以上に上げるのは必須。

 

さて今回の80年代のシャンパーニュも

 

全て前日に抜栓し、

 

専用のストッパーを付けて保存した。

 

その2へ続く。

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2022年3月22日(火)

蔵出しワインとは

 

インポーターによって色々あるが、

 

我が家では出来るだけ

 

外気温が20℃を越えない時期を選び、

 

全て空輸で1週間以内に生産者から届く。

 

多分日本一小さい名ばかりインポーターなので、

 

1本からでもこまめに対応している(宣伝( ´艸`)。

今回のは3年前に続き、

 

(この時は100年前のワインと言うことで

 

1919年を中心にした)

 

ジュルベランのニュイサンジョルジュを確認した。

 

これらのワインは前回試飲の時に分かったのだが、

 

1970年以前の物はリコルクしてあった。

 

人によってはこのリコルクを

 

目の敵にする人がいるが、

 

25年前のリコルク時にブレンドされた

 

若いワインが、

 

元の古いワインとブレンドされ熟成すると、

 

中々素晴らしい景色と雰囲気を醸し出す。

 

一言でいうと‛美魔女’になっているのだ。

 

寄り道しないで届いたものを

 

25年位セラーで大事に育てたものは

 

一同目からウロコ、だったはず。

 

どの位すごいかと言えば、最後まで残った’45が

 

一番のびやかで表情豊かな、なんちゃって77歳。

 

 

 

いつも飲み初めはオードブルの前に一通り味見。

 

一番若いのが1985年で、

 

ふつうならトリだろう。

 

でもこれ以前と以後で(多分一番は経済的理由で)

 

激しく味が変わり、

 

以後の物は伸びしろがとても少ない。

 

まだ若々しい’85の次は急に奥行きがあり、

 

スケール感が半端ない1971年マグナム。

 

これは瓶が大きいだけでなく、

 

瓶詰めストレスフリーなので

 

味と香りがどこまでも溢れ出て大変なことになる。

 

皆ここから進めなくなってしまうほどの美味さ。

 

’71は当たり年だし、

 

蔵出しのコンディションがいいので

 

美味しいとは予想してはいたが、

 

あまりにも予想を越えてしまうと

 

皆立ち止まってしまう。

 

それでも振り切って’62、’59,そして’45へ。

 

悪い年ではない’62でも’71の後では影が薄く、

 

当たり年の’59もかなり美味しいが

 

皆首を縦に振らない。

 

トリの’45になって初めて’71に対抗できる。

 

大番狂わせのテイスティングになった。

 

合わせたつまみはサラダ、

 

トリュフカマンベール、つぶスモーク、

 

まぐろサラミ、花咲かにバター、

 

寿司は 本マグロ赤身ヅケ、

 

日本一の赤貝閖上(ゆりあげ)産 、うに塩辛

 

メインは 銀鱈とごぼうのローストいちごソース

 

 

総括としてはワインは生もので

 

瓶に入った’刺身’なので、

 

ヴィンテージものは特に輸送と保管に注意し、

 

適切に管理すれば驚くほど満開に咲いてくれる。

 

 

 

 

 

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