2020年11月20日(金)

やっと本題に入り、バローロに舌鼓を打って頂くのだが、

 

初めにグラスで表情が変わり、飲み進んでいくうちに

 

酸化と温度変化でも変わっていくのである。

 

つまり、一口づつとはいえ同じ味はないのである。

 

本のページをめくっていくように一口づつ

 

味の表情と景色が変わり夢の世界へと誘う。

 

そしてそこにつまみが入ると景色が3D、

 

立体的になる。

 

イタリアワインなのでピザという話があったが、

 

なかなか手作りはできないので、それなりの物を

 

オリーブオイルで合わせて頂いた。

 

少しは腹の足しになるようチキンカツに

 

ハニーマスタードソース、

 

ささかまにドライトマトとバジルソース、

 

そしてサプライズの3本目。

このワインは最高に人気がない。

 

決してまずいわけではなく、甘口デザートワインと

 

いうだけで選ばれないワインだ。

 

ただ飲ませると皆「お代わり!」と口をそろえる。

 

このワインに合わせるのは黄色くて甘い物がいい。

 

一番はシュークリーム、プリンだが日本的なもので

 

最高の物が数多くあるが、今宵は

 

白かりんとう、カレーライス、チーズケーキ、

 

この3種をお出ししてマリアージュを確認した。

 

 

バローロの結論はこの25年でも美味しいのだが、

 

まだ酸味と渋みが料理の塩気と張り合ってしまう。

 

その攻防も楽しいのだが、

 

あと15年待ってみるのも良いと思う。

 

 

 

 

 

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2020年11月20日(金)

熟成しないワインは、

 

キャッシュフローを安定させるためにも

 

もともと早くお金に変えるのも目的だったので、

 

早く売り切らなくてはならない。

 

寝かせるコストも省け、ラベル汚損などの

 

クレームも激減するのが見込まれれば、誰が進んで

 

ワインを熟成させようと思うか?

 

そもそもの技術革新は高い志の元始まったと思うが、

 

何でも物は使いようで、その技術も使い方を間違えば、

 

只のなんちゃってワイン製造法になり、

 

あの有名5大シャトーの責任者の一人も、

 

「時代の流れに合わせて変えていかなくてはならない」

 

などと、のたもうたようである。

 

それで、現行のワインを批判するわけでなく、

 

理屈はさておき,味の違いを体験して欲しくて、

 

この試飲会を企画した訳である。(やっと本題に入れた)

 

2000年以降のワインしか知らない人が多いのは、

 

フランスの核実験ボイコットの影響で、

 

大量のチリワインが安価に流通したことが原因でもある。

 

大量のワイン愛好家を増やすのに役立ったのではあるが、

 

本来のワインの味わいではなく、

 

ぶどうジュースにアルコールを入れた様なものが

 

沢山流通した。

 

そのようなワインでは、

 

「マリアージュは語れませんよ」

 

と言うことを体験して欲しいのである。

 

それで今回は比較するために同じ地方のワイン、

 

バルベラダルバ2016年を先に飲んでから

 

バローロを飲んでもらった。

 

あまりの違いに「飲んだことのない味だ」とか、

 

「ぐいぐい飲めるし、気分悪くならない」と

 

お褒めの言葉まで頂いてしまった。当然これは

 

想定していたが、いくつになっても褒められるのは

 

嬉しいものだ。でもそれはワインであって主催者の

 

私ではないのだが。

 

その5へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2020年11月20日(金)

それは作り手が夢見ていた、

 

すぐに美味しく飲めるワインの誕生だ。

 

もちろんこれは皆に大歓迎された。

 

というのも出来て直ぐのワインは酸っぱくて

 

渋くて飲みにくく、蔵で瓶詰後2,3年寝かせないと

 

飲めなかったが、それが

 

すぐに飲めてお金に変わるからだ。

 

出来て直ぐに飲めなかったのが飲めると言うことは、

 

魔法のような味の化粧できるのを意味した。

 

特に2000年以降はその傾向が強く、

 

味が薄いのをアルコール度数を上げて隠し、

 

コクがないのを樽を使っていないのに樽の香りを

 

付ける方法等々魔法のようなテクニックが出現した。

 

当然お金の臭いに群がる輩も増えて、

 

世の中が白黒から天然色のカラーに変わったようだった。

 

このテクニックは外れ年が当たり年に変わり、

 

その結果生産者に億万長者が沢山生まれ、

 

そのワインを点数評価する評論家にもお金が回っていった。

 

これでめでたしめでたしとならないのが世の中で、

 

この産業革命に乗れなかった良識ある人達から

 

反感を買ったのは当然だろう。

 

3歳の子供が大人のセリフを言うようなもので、

 

それはそれで頼もしくも将来が楽しみとも思えるが、

 

20年経っても同じなら、誰からも称賛されない。

 

そう、ここが肝心なのだが、

 

成長の伸びしろが少なく、熟成しないワインの誕生でもあった。

 

その4へ

 

 

 

 

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