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2022年12月20日(火)

我が家のワイン会では毎回寿司は出していますが、

 

今回のようにほぼ寿司だけの会は年に一度です。

 

なぜかと言えば、「寿司にワインは合わない」と

 

頑なに信じている人がいるからで、

 

そういう方は寿司とオールドヴィンテージワインの

 

マリアージュの体験をされたことが無いようです。

 

初めて参加される方は大抵そのようで、

 

今回初めてのお二人のマダムは興味津津の様子。

 

まずお出しするワインは1か月以上立てて休ませ、

 

24時間前に抜栓し、すぐに替え栓をします。

 

40年以上経ったコルクは写真のように

 

一部の例外(リコルク)を除き壊れてしまいます。

 

抜栓時にボトルに入った酸素が

 

ゆっくり時間をかけて

 

眠っていたワインを起こします。

 

出来れば温度も管理して、

 

赤ワインなら20~22度、

 

白ワインなら10度前後に調整すると

 

味に深みが出ます。

 

今回は人数が増えたので

 

90年代のカステラーヌを追加です。

 

50年代より生産量が倍以上になったとはいえ、

 

現在の流通しているものに比べれば

 

味の濃さは数段上で、

 

オードブルのサラダ、

 

塩味で食べる‛生甘海老’とのマリアージュに

 

レギュラーメンバーの方も驚かれたようです。

グレープシーズオイルでマリネした

 

タコカルパチョでドカステラーヌは終わり、

 

’89フェヴレに移りました。

 

以前これを開けた時

 

「これがデイリーワインだと良いな」と

 

おっしゃった方がいらして、

 

他のメンバーも無言でうなずいていました。

 

今回も一同、しなやかさに納得されたようで、

 

北のご馳走のほっけ、ニシン、花咲ガニと

 

絶妙のマリアージュ。

 

何れも冷却調理(殺菌冷凍)しているので、

 

味の濁りが無く‛ほっけ’の泥臭さも皆無で、

 

脂ののった味は‛あいなめ’以上かもしれません。

 

20年以上熟成の

 

シャンパーニュヴィネガーで〆たニシンも、

 

薄皮を剥いているのでクリアな味に仕上がり、

 

花咲ガニはレモン塩でマリネしてから

 

寿司にしたので、

 

液面が低かった’59リシュブールの保険で追加した

 

’85リシュブールとドンピシャ。

 

「これだけはひとりで1本飲める」と

 

初めてのマダムからもご評価頂きました。

次のにぎりは、酒蒸しタコ、生甘海老、花咲ガニ、

 

本マグロ皮トロ炙り、

 

赤貝(閖上産)、かつおヅケ。

 

’76レスショは甘く纏ってしなやかさが際立ち、

 

どの握りとも寄り添い、

 

リコルクの’66は再熟成30年?と思われ、

 

最後まで落ちることなく

 

美魔女のような妖しさを漂わせ、

 

’59リシュブールにバトンタッチ。

 

トリの’59はコンディションが今一でしたが、

 

6時間前のダブルデカンタージュで何とか開いて、

 

今までの5本とは別世界を見せてくれました。

3番目のインドマグロヅケ、天然本マグロトロ、

 

うに塩辛卵焼。

 

酢飯が甘酸っぱく、

 

ワインも甘酸っぱいので合わないわけがない、

 

といつも言っていますが、

 

レギュラーメンバーの方達も

 

寿司とヴィンテージワインのマリアージュを

 

再確認されたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022年8月7日(日)

前回15℃以下の気温の時に輸入と書きましたが、

 

この意味が分からないという質問があったので

 

説明します。

 

1980年以前のワインは、

 

現在流通のワインと違い保存料のソルビン酸など

 

添加されていないものが多く

 

外気温が15度を過ぎると熟成が進み、

 

20度を超えるとワインが膨張して

 

コルクを押し上げ、中身が吹きこぼれ始めます。

 

これを防ぐ為に外気温15度以下の季節に

 

(船便の長期輸送の振動も回避するため)

 

コストをかけて空輸しています。

 

でも一般流通の船便ワインと空輸ワインを並べても

 

一見、違いが分かりにくく、

 

インポーターによっては

 

「鮮度が良すぎると飲みにくい」などと

 

苦しい言い訳をするところもあるようです。

 

2000年以降のワインには

 

表示義務のない保存料等も含まれていて、

 

どのワイン屋さんでもほとんどのワインは

 

常温で販売されています。

 

これは初めから気温15度以上で販売しても

 

以前のように顕著な劣化を回避する何かを

 

施していると考えられます。

 

転売で品質劣化が多くみられるルロワのワインは

 

2011年の物でもバックラベルに

 

12度~15度、

 

湿度80~85%で保存しないと劣化につながる旨

 

表記されています(最初の写真)。

またヴィレーヌのワインでも冷やし過ぎず

 

12度~14度で飲むよう表示されています。

 

1980年代と同じように品質を重視し、

 

保存料などの添加物を極力使わない作り手は

 

昔ながらの流通含めた保管や、今は忘れられた

 

一番肝心な飲む温度など

 

丁寧に教えてくれています。

 

だから流通、保管時の温度15度は

 

美味しく飲むために必要と考えます。

 

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2022年8月4日(木)

なぜ80年代のシャンパーニュを飲むのか?

 

それは現在手に入る中で一番若く

 

(40年経っても)、

 

かつ理想的に飲める最後の年代だと思う。

 

というのは、1950年3000万本、

 

1963年6400万本、1971年一億本、

 

1985年一億5千9百万本、

 

2014年3億5百万本と

 

畑の広さがあまり変わらずに

 

生産量が増えると共に、

 

味が薄いものが増えてしまっているから。

 

そんな訳で限られた条件の中で集めたものが

 

今回のワイン達で、最初はマム。

 

ラベルが草臥れているせいで、

 

あまり期待されなかったようだが、

 

飲んで一同驚愕。

 

ある方は「これは普通トリのワインだよね」と。

 

「こんなトリになる物並べて飲んではもったいない」

 

とお褒めの言葉を頂戴してしまった。

 

次のNVも知名度は低いが

 

’89コンクール金賞受賞で

 

穏やかな語り口はとてもNVとは思えない

 

ワリス&シュネイエ。

 

続く’85はシャルルラフィット。

 

現在はポメリーの傘下になっているが、

 

マムのルネラルーと同じボトルを使っている様で、

 

キュヴェも奥行きがある。

 

4番目はドカステラーヌの最上品コモドア。

 

今までの4本の中で一番穏やかで伸びがあり、

 

半分まで氷を使わず20度まで温度を上げたが、

 

味が乱れなかったのは見事だった。

 

ただその上を行ったのが蔵出しのアンリグトルブ。

 

’95にここに買い付けに行った時の

 

思い出の1本で、

 

「ヨーロッパ域内に顧客が1000件あるから

 

日本に売らなくともいい」と言われ、

 

頼み込んで分けてもらったもの。

 

丁度その年にゴーミヨの年間大賞を取って、

 

フランス国内で注目されるようになり、

 

いいタイミングで’76,’81,’82,’85、’87

 

と日本に空輸した。

 

初めから輸出用にガス圧の調整等せず、

 

更に困ったことに

 

マロラクテイック発酵していなかったようで、

 

飲み頃が来たのがここ5、6年。

 

鮮度が良すぎるとこうなるの典型で、

 

他の同じ’85は

 

熟成香と色合いの変化が出ているのに、

 

これはブラインドで飲んだら15年いや

 

20年以上若い。

 

味の表情の豊かさは別次元で、

 

これだけ別にしないとバランスが取れない。

 

初めに一口づつ全種類確認した後、

 

つまみとのマリアージュを確認した。

左手前から,ワタリガニケジャン、ホタテスモーク、

 

がぜうにゼリー、

 

サラダ、エビとトマトのレモン煮。

 

ワインとの相性を考え少し工夫をしたのが、

 

ケジャンは水飴でなくハチミツを使い、

 

ホタテスモークはグレープシーズオイルでマリネ、

 

ゼリーはコンソメではなく昆布だし。

 

レモン煮はかつおと昆布だしを使った。

 

寿司は左から、ほうぼう2個、酒蒸たこ、うに塩辛

 

メインはアワビのブールブランソース

 

このソースにも旨味を追加するために、

 

あさりの酒蒸のだしに昆布を入れたもので、

 

エシャロットを煮詰る。

 

バリバリのフレンチよりも程よい距離感と、

 

熟成の効いたマリアージュを楽しんで

 

頂けたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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