それは作り手が夢見ていた、
すぐに美味しく飲めるワインの誕生だ。
もちろんこれは皆に大歓迎された。
というのも出来て直ぐのワインは酸っぱくて
渋くて飲みにくく、蔵で瓶詰後2,3年寝かせないと
飲めなかったが、それが
すぐに飲めてお金に変わるからだ。
出来て直ぐに飲めなかったのが飲めると言うことは、
魔法のような味の化粧できるのを意味した。
特に2000年以降はその傾向が強く、
味が薄いのをアルコール度数を上げて隠し、
コクがないのを樽を使っていないのに樽の香りを
付ける方法等々魔法のようなテクニックが出現した。
当然お金の臭いに群がる輩も増えて、
世の中が白黒から天然色のカラーに変わったようだった。
このテクニックは外れ年が当たり年に変わり、
その結果生産者に億万長者が沢山生まれ、
そのワインを点数評価する評論家にもお金が回っていった。
これでめでたしめでたしとならないのが世の中で、
この産業革命に乗れなかった良識ある人達から
反感を買ったのは当然だろう。
3歳の子供が大人のセリフを言うようなもので、
それはそれで頼もしくも将来が楽しみとも思えるが、
20年経っても同じなら、誰からも称賛されない。
そう、ここが肝心なのだが、
成長の伸びしろが少なく、熟成しないワインの誕生でもあった。
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