2022年8月7日(日)
ワインはなぜ15度以下なのか?
前回15℃以下の気温の時に輸入と書きましたが、
この意味が分からないという質問があったので
説明します。
1980年以前のワインは、
現在流通のワインと違い保存料のソルビン酸など
添加されていないものが多く
外気温が15度を過ぎると熟成が進み、
20度を超えるとワインが膨張して
コルクを押し上げ、中身が吹きこぼれ始めます。
これを防ぐ為に外気温15度以下の季節に
(船便の長期輸送の振動も回避するため)
コストをかけて空輸しています。
でも一般流通の船便ワインと空輸ワインを並べても
一見、違いが分かりにくく、
インポーターによっては
「鮮度が良すぎると飲みにくい」などと
苦しい言い訳をするところもあるようです。
2000年以降のワインには
表示義務のない保存料等も含まれていて、
どのワイン屋さんでもほとんどのワインは
常温で販売されています。
これは初めから気温15度以上で販売しても
以前のように顕著な劣化を回避する何かを
施していると考えられます。
転売で品質劣化が多くみられるルロワのワインは
2011年の物でもバックラベルに
12度~15度、
湿度80~85%で保存しないと劣化につながる旨
表記されています(最初の写真)。
またヴィレーヌのワインでも冷やし過ぎず
12度~14度で飲むよう表示されています。
1980年代と同じように品質を重視し、
保存料などの添加物を極力使わない作り手は
昔ながらの流通含めた保管や、今は忘れられた
一番肝心な飲む温度など
丁寧に教えてくれています。
だから流通、保管時の温度15度は
美味しく飲むために必要と考えます。
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