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なぜ80年代のシャンパーニュを飲むのか?
それは現在手に入る中で一番若く
(40年経っても)、
かつ理想的に飲める最後の年代だと思う。
というのは、1950年3000万本、
1963年6400万本、1971年一億本、
1985年一億5千9百万本、
2014年3億5百万本と
畑の広さがあまり変わらずに
生産量が増えると共に、
味が薄いものが増えてしまっているから。
そんな訳で限られた条件の中で集めたものが
今回のワイン達で、最初はマム。
ラベルが草臥れているせいで、
あまり期待されなかったようだが、
飲んで一同驚愕。
ある方は「これは普通トリのワインだよね」と。
「こんなトリになる物並べて飲んではもったいない」
とお褒めの言葉を頂戴してしまった。
次のNVも知名度は低いが
’89コンクール金賞受賞で
穏やかな語り口はとてもNVとは思えない
ワリス&シュネイエ。
続く’85はシャルルラフィット。
現在はポメリーの傘下になっているが、
マムのルネラルーと同じボトルを使っている様で、
キュヴェも奥行きがある。
4番目はドカステラーヌの最上品コモドア。
今までの4本の中で一番穏やかで伸びがあり、
半分まで氷を使わず20度まで温度を上げたが、
味が乱れなかったのは見事だった。
ただその上を行ったのが蔵出しのアンリグトルブ。
’95にここに買い付けに行った時の
思い出の1本で、
「ヨーロッパ域内に顧客が1000件あるから
日本に売らなくともいい」と言われ、
頼み込んで分けてもらったもの。
丁度その年にゴーミヨの年間大賞を取って、
フランス国内で注目されるようになり、
いいタイミングで’76,’81,’82,’85、’87
と日本に空輸した。
初めから輸出用にガス圧の調整等せず、
更に困ったことに
マロラクテイック発酵していなかったようで、
飲み頃が来たのがここ5、6年。
鮮度が良すぎるとこうなるの典型で、
他の同じ’85は
熟成香と色合いの変化が出ているのに、
これはブラインドで飲んだら15年いや
20年以上若い。
味の表情の豊かさは別次元で、
これだけ別にしないとバランスが取れない。
初めに一口づつ全種類確認した後、
つまみとのマリアージュを確認した。
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左手前から,ワタリガニケジャン、ホタテスモーク、
がぜうにゼリー、
サラダ、エビとトマトのレモン煮。
ワインとの相性を考え少し工夫をしたのが、
ケジャンは水飴でなくハチミツを使い、
ホタテスモークはグレープシーズオイルでマリネ、
ゼリーはコンソメではなく昆布だし。
レモン煮はかつおと昆布だしを使った。
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寿司は左から、ほうぼう2個、酒蒸たこ、うに塩辛
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メインはアワビのブールブランソース
このソースにも旨味を追加するために、
あさりの酒蒸のだしに昆布を入れたもので、
エシャロットを煮詰る。
バリバリのフレンチよりも程よい距離感と、
熟成の効いたマリアージュを楽しんで
頂けたと思います。