2018年8月3日(金)
ブルゴーニュの白ワインでなかなか美味しいのが
少なく、本当にその品種が世界で名実ともに
評価の対象となりうるものか疑っている人が
多いのも事実だろう。
そのくらいシャルドネという品種は育ち方によって
色々な表情を見せるのが現実だ。
特に70年代くらいまでは気候が冷涼だったため、
発酵時にリンゴ酸が多すぎて乳酸菌が死んで、
乳酸発酵である「マロラクテイック発酵」
が起こらずリンゴ酸の効きすぎた
酸っぱいワインが普通だった。
更に地理的条件も美味しさの要件で、
風通しが良すぎるコルトンシャルルマーニュや
モンラシェの畑は貴腐菌が付かず、ともすると
美味いけど奥行きのない
「ただの辛口ワイン」になってしまう。
日中と夜間の温度差が15℃以上あり、
畑に石灰質が多く
収穫1週間前に雨が降らない等がワインの味の
決め手となったのは当たり前の事だった。
だから自然と対峙し一生懸命努力して
造られた銘酒は格別の味がするし、
現在在庫も少ない貴重品なので
「今のうちに飲んでしまおう」と皆に声をかけ
この日のヴィンテージワイン会が始まった。
ワインは右から
1992年ムルソー レブッシェールジュルベラン
1988年ムルソー ミシュロ
1972年ムルソー ジュヌヴリエール
オスピスドボーヌ
1985年シュヴァリエモンラシェ シャルトロン
1971年シュヴァリエモンラシェ シャルトロン
1989年コルトンシャルルマーニュ
ボノデユマルトレ
1982年コルトンシャルルマーニュ
ボノデユマルトレ
1980年コルトンシャルルマーニュ
ボノデユマルトレ
シャルドネの産地が北から南に
移るにつれて変化する気温で、
香りの変化も感じられ、
青いライム、レモン、青りんご
パイナップル、マンゴー、アンズ、
そして最終的に甘く優しい桃の香りになる。
この香りはまるで古代ギリシャの神々が常食とする
生命の酒「ネクター」だ。それを感じるのが
貴腐菌が付いた’71で同じ作り手の’85とは
比べ物いならないスケール感と説得力がある。
極端に言えば
この’71シュヴァリエモンラシェの為に
他のワインを開けたといっても良いくらいだった。
オードブルはサラダ、桜たこ、酒蒸し鶏、
ツナリエット、トマトピクルス
何れも酸味をきかして、
マロラクテイック発酵をしていない
酸っぱいワインの酸が
丸くなりつつあるのに合わせる楽しさ。
家のワイン会では、
偉大なシャルドネを開けるときは
必ずお出ししているのが
「天然あわびブールブランソース」。
今回は新潟産のメガイあわびで
1個500g位の物を
12名で3個使った。
水揚げして生け簀に入れていないので
歯ごたえと香りが違い、調理の腕が悪くても
素材に助けられ、「柔らかくて美味しい!」と
好評だった。
寿司は左から
活なめたかれいの洗い、イサキ、平目縁側昆布〆。
何れも旨味と歯ごたえの余韻が長いので、
比べるとこの中では一辺倒な味わいの
コルトンシャルルマーニュも美味しくなる。
次回はボルドーの白を楽しむ予定だ。
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