時の権力者が、金に糸目をつけずに造らせたワインは本当に美味い。
ロシアの皇帝が国がひっくり返るほど贅沢をして、そのお手伝いをした
ルイロデレール(2番目透明のボトル)。
やはりロシアで稼せぎ「国中をシャンパーニュで水浸しにしてしまう」と
文豪プーシキンに言わしめた「ヴーヴクリコ」。更にそれだけでなく
エリザベス2世戴冠25周年記念ボトルまで造りました(右端)。
そして世界一のシャンパーニュメーカー「モエエシャンドン」は、
3代目があの皇帝ナポレオンの同級生で、その縁で敷地内にホテルを作り、ベ
ルサイユ宮殿の庭のコピーまで作ってもてなしたようです。
時代が下り、ポールロジェはイギリスのチャーチル首相のお気に入りで、
自分の競走馬に「ポールロジェ」と名付けたほど熱の入れようでした。
経済的な大きな支えがあり、更に今よりも生産量が6/1以下のヴィンテージ物は
見つけたら飲まないわけにはいきませんね.
4月11日のワイン会では、上の写真に入りきらなかった1本を含め、
全部で7本飲みました。
最初は一番若い1985年のフィリポナでスタート。
シャルドネ100%の鋭い酸味は丸く穏やかになり、「ぐーっと飲める」のど越しです。
次は、普通ならトリを務めるはずのクリスタルの登場です。
これも30年以上経てなめらかな味わいになっていて、居並ぶ横綱の中にいても
腰の強さと余韻の長さでは光るものがあります。
3本目はラベルが破れていて、飲むまでは確認できませんでしたが、
モエのロゼでした。一同、モエがこんなに美味しいと思わなかったというほど、
このころの造りは違っていました。モエを買うなら70年代の物にすると、
各上の若い「ドンペリニョン」より美味しく飲めると思います。
次はアメリカ輸出で大きくなった「マム」の1973年ロゼです。
外れ年と言われていますが、このころまでは規制が緩く、ヴァンドレゼルブを
ヴィンテージワインにもブレンドしており、ラベルは草臥れていますが、
味はまろやかで甘みもありとても飲みやすいロゼです。
5本目がエリザベス2世戴冠25周年記念ボトルです。
明らかに使っている原酒の違いが分かり、泡立ちもまだ力強い。
余韻も長く、かすかな酸味も残っていてあと10年は楽しめそうです。
6本目ドヴノージュから味の景色が変わり、いい意味で熟成した別のシャンパーニュ
でした。泡は消え、マディラやオロロソを思わせる熟成香と酸味。
黙って出されたら「シャンパーニュ」と分かる人はいないでしょう。でも美味い!
最後はチャーチルの愛したポールロジェ1964年。
これも泡が消え、シェリーやポートの味わいになっており、フルーツやチーズケーキに
よく合いました。
オードブルは人参ドレッシングのサラダ、あわびそば、うに玉、まぐろハム
ワインには普通合わせない「鶏のピリ辛炒め四川風」
お寿司はインドまぐろ漬け、うに塩辛、平目昆布締め(写真なし)
カラフルなミュズレが時代を感じさせます。
キャップシールも年代が遡るほど重くなります。
11名でワクワクドキドキの3時間30分でした。