2018年11月13日(火)

「生まれ年のワインあります」などと張り紙をしていると

 

時々お客様が入ってくる。

 

「今年50歳だけどいくらするの?」と興味深々。

 

だが、こちらは値段を伝える前に色々聴くことにしている。

 

先方の方はワインをお飲みになりますか?

 

また飲まれるとしたらどんなワインがお好きですか?

 

ところがほとんどの方が

 

「知らない」とお答えになる。

 

ということは古いコルクを開けられるかどうか、

 

ワインに合ったグラスを持っているか、

 

また飲み頃温度を含め、

 

飲み方を知っているかどうか

 

分からないということだ。

 

刺身の柵を切れるかどうか

 

(包丁、まな板、切る能力があるかどうか)

 

分からないのに贈るのと一緒だ。

 

このお贈りたい気持ちは大事だが

 

相手のことが分からないのに

 

ワインを送りたい人の多いことに

 

驚かされる。

 

だから、

 

まず先方さんに「30年以上前のワインを

 

飲んだことがあるのか?」等を尋ねるように

 

促している。

 

もし古いワインを飲んだことが無ければ、

 

「今年20歳のワインから始めてみませんか?」と。

 

それと一番大事な予算も聴くことにしているが、

 

 

これが一番困る。

 

 

相場を知らない、あるいは無視したような

 

 

驚くことをおっしゃる方が圧倒的だ。

 

 

「今年70歳になる先生に贈りたいけど」

 

 

なんと予算が¥10000くらいらしい。

 

 

普通は最低でも¥50000以上にはなると答えると

 

 

「高い」と怒られる。

 

 

仙台から東京まで行くのに高速バスなら

 

 

片道¥2000位からあるが

 

 

新幹線なら¥11200で約5倍。

 

 

これでJRに高いと文句を言う人がいるのだろうか?

 

 

(ニュースにはならないがいるかもしれない)

 

 

良識のある人なら内容が違うので

 

 

値段も違うことは了解のはず。

 

 

でもことワインになると、

 

 

「あんなものぶどうを絞っただけじゃないか」と

 

 

譲らない。

 

 

負けろ負けろのオンパレード。

 

 

なぜ?と聞くが根拠がないらしい。

 

 

良識のある大人にはいろんな意味で

 

 

「常識的なワイン」を飲んでもらいたい。

 

 

そんなこの頃。

 

 

安くて良いものなんて、この世に絶対ありません。

 

 

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2018年10月2日(火)

ボルドーの白ワインと聞くと、甘口デザートワインで

 

料理に合わないと思われているかもしれないが、

 

今回のヴィンテージワイン会のラインナップは全て辛口で、

 

「飲みやすくて料理に合うのに選ばれないワイン達」だ。

 

辛口と言ってもブルゴーニュのシャブリ等と

 

ぶどうの種類が違うため、若くても

 

ヒステリックな酸味があまりなく

 

「酸っぱくて飲みにくい」ことはないし、

 

右から4番目を除き、若ければ価格も割安。

最初のワインはあの有名なロスチャイルド家のRドリューセック。

 

甘口のデザートワイン用に育てたぶどうの中で

 

甘くならなかった糖度の低いもので造った辛口。

 

飲み込むまでは甘い香りで、のど越しから

 

素晴らしい切れ味で後味が爽やかで余韻も長い。

 

2番目は昔々、イスラムの王様に

 

 

「ミネラルウォーター」と言って献上していた優れもの。

 

 

とても透明度があり、飲みやすい。

 

 

3番目はブルゴーニュの白のように造りたかったらしい

 

 

カイユブラン。品種が他とほぼ同じなのに

 

 

まるでブルゴーニュワインのようだが、

 

 

後から包み込まれるような酸味の余韻は

 

 

とても気が利く「執事」のようだ。

 

4番目が今回のメイン、オブリオンの白。

 

残念ながらうちに来る前に保管温度が高く、

 

峠を越えてしまっていたようだった。

 

しかし皆の応援と熱気で後半には盛り返し

 

銘酒の底力を見せてくれた。
次もコンディションが定まらず、峠を越えつつある

 

’69カルボニュー。他と違うのは

 

シェリーのようだがまだワインらしさを

 

感じさせてくれるところか。

 

 

’66シャトーブスコの代打で登場したのは

 

 

とても珍しい川向こうのそれもあの横綱と

 

 

ほぼ同じ名でD’がない’64シャトーイケム。

 

 

このヴィンテージで横綱のデイケムと飲み比べても

 

 

バランスではこちらを高く評価したい。

 

 

’61のこの年はボルドーの超当たり年。

 

 

テーブルワインに毛の生えたくらいの物なのに

 

 

「素晴らしい」出来栄え。一番人気だった。

 

 

最後は’55生まれの方の為に準備したのに

 

 

その方がいらっしゃらなくて待ちぼうけだったワイン。

 

 

劣化がほとんどない、稀にみる仕上がり。

 

 

こうゆう風に歳をとりたい、と思わせるワイン。

料理は前回ブルゴーニュの白とほぼ同じにした。

 

酒蒸しタコ、鶏酒蒸し、ツナリエット、トマトピクルス

寿司 うに塩辛、平目昆布〆、ボタンエビみそ塩辛のせ

 

あわびのブールブラン(写真無)と続き

デセールはサプライズに’89リューセックを開けたので

 

和風の甘味のみたらし餅、鉄板のチーズケーキ、かりんとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2018年8月25日(土)

「なぜこんな古いものを飲むのか?」という素朴な疑問の答えは

 

「若いものよりすごく美味いから」。

 

ここ10年くらいの間に

 

ワインは5年から10年でダメになるものと

 

信じている人が多くなり話が通じない。

 

1995,6年位の物でも’古酒’などと呼ばれ、

 

驚いたことがあるが、それが普通になったようだ。

 

何度も書いているが、1980年代に入り相続税が上がり

 

相続できない蔵が続出したことと、濾過フィルターができたこと、

 

政治的に生産地の面積をそのままに生産量を増やしたこと等。

 

何れも消費者の為にならないことが多かったのが

 

1985年以降のワイン。

 

ということは「それ以前の物を飲めばいい」これが

 

簡単な答えだ。

 

写真のヴィンテージシャンパーニュ右から5本は

 

年号が入っていないのもあるが全て30年以上経っている。

 

ラベルデザインが10年ごとに少しずつ

 

変わるので比べると何年ごろのか分かる。

 

IRROYのフランス語読みは「イロワ」で

 

これは60年代。隣の赤十字は貴族の証の

 

DEが前に付くドカステラーヌこれも60年代。

 

何れも微発砲というよりはほぼ’泡’がない。

 

しかしシェリーを飲んでいるようにコクがあり、

 

まったり感に後で包まれる。

 

この余韻の優しさに触れたら癖になってしまう。

 

そしてその酔い心地がとても穏やかなのだ。

 

参加メンバーの中でも60半ばの方もおられ、

 

「実は最近赤ワインが飲めなくなった」と

 

おっしゃり、自分も最近80年代後半の物でも

 

強く感じられて酔いが回るようになり、

 

大人になったことを痛感させられている。

 

これらのシャンパーニュにはその’強い酔い心地’

 

がない。だから危険で飲み過ぎてしまう。

 

70年代と思われるブランデーを思わせる瓶の

 

コモドアは古すぎず、とてもいいバランスで

 

何時までも飲めてしまう。次の唯一のヴィンテージの

 

1983年アンリオも軽く飲みやすい。

 

一番若いと思われる黒ラベルのルイドーモンは

 

ドミセックとあって優しい甘みが豊富で飲みやすい。

 

このような「古酒」の経験のない方は

 

(探すのは大変だが)

 

このドミセックを探してみるのもいい。

つまみの写真を取り忘れて、この「タコ飯」の一枚だけ。

 

生タコを酒と塩だけで茹で、その煮汁で炊いた飯に

 

スライスしたタコのトッピング。

 

タコと煮汁を含んだ飯の旨いこと旨いこと

 

シャンパーニュとの相性も抜群で、それぞれの旨さを

 

打ち消すことなく、飯を口に運びシャンパーニュで

 

流し込むと、タコ、飯、煮汁そしてシャンパーニュ

 

それぞれの旨味が舌の上に並びきちんと喉を下りて行く。

 

この旨味を理解するのは日本に住まなくてはならないだろう。

 

私の心の師匠の邱永漢さんに言わせれば

 

「日本人に生まれるでなく日本人になる」と

 

生まれよりも育ちの環境を示している。

 

まるでワインも同じだ。

 

このキーワードを感じさせるマリアージュを

 

サプライズでやってみたので、ボトルが多くなった。

 

というのも9名で5本のシャンパーニュは絶対

 

足りなくなると思ったからで、

 

誰も絶対と良いくらい試さない和菓子それも

 

お店でなく家庭で食べるようなもので合わせてみた。

 

’76ロクストンポートhttps://www.uogin.com/shop02.php?item=108

 

にはあん餅、

 

’77トカイhttps://www.uogin.com/shop02.php?item=118

 

には みたらし餅と醤油煎餅、

 

アサイーとブルーベリーの入ったチョコレートに

 

合わせたのは今年71歳のバニュルスそれに

 

100年原酒をブレンドしたセペルトトーニーポート。

 

中締めを2回してもお開きにならなかったのは

 

当たり前か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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