2019年8月3日(土)

夏のシャンベルタンは美味いのか?

これを確認するため27日に皆さんにお集まり頂いた。

ブルゴーニュワイン、特にピノノワールは18℃くらいの

室温で飲まないといけない、

と頑なに信じている人が多いようだが

若いワインを樽からテイスティングするのならば別だが、

我が家のように‛若くても80年代から’の場合

当てはまらないと思う。

また天気が悪く気圧が低いと揮発成分が抑えられ、

気温が高くとも「いい香りが少なくなり味わいも寂しくなる」

らしい。

しかし耳元でライオンが吠えるような猛烈で妖艶な香りの

ルロワの1985年マジシャンベルタンを持って来なくとも

今回のラインナップで十分に楽しめた。

気温が30度を超えると冷たく爽やかなもので始めたいので、

我が家のハウスシャンパーニュ的な1987年アンリグトルブから。

蔵出し空輸の為鮮度抜群で、

更に二次発酵をしていないのでリンゴ酸が沢山含まれており、

何時までも出来立てのような若々しさが残り、

裏を返せば酸味が丸くならず、

美味しく飲めるようになったのはここ5,6年。

熟成が30年を越えても古さを感じさせず、

普通の5倍くらいの香りがグラス一杯に広がる。

これは普通のグラスでは感じられず、

ロブマイヤーグラスの成せる業。

一同暑くて喉が渇いていたと見えて、

ゴクゴク飲んでオードブルを半分食べたところで終了。

いよいよシャンベルタンを少しずつ若い順から始めるが、

不幸にも’76と’64が峠を過ぎてしまっていたようで

代替えに’66アロースコルトンと’78ジョフロワの1ERを

当てた。

’88のシャルムはまだ若く香りの強さはあるが

味わいがほぐれず、奥行きがまだ浅いが十分美味い。

’78シャルムは名手ダユの手によるもので

底知れぬ美味さが出てくるまで時間がかかった。

その間に’76の代打のジョフロワ。

畑の名前は書いていないが、はつらつとした

申し分のない完成度は当たり年の成せる業。

今回の‛とり’といっても良い’71.

当たり年の’71更に作り手はルイジャドとなれば

「飲む前から結果が分かる」素晴らしさ。

いつまでも飲んでいたい1本。

そしてルイラトゥールの何もつかないシャンベルタン。

’66という良い年に恵まれ、今が熟成のピーク。

こういうワインなら毎晩皆を集めて飲みたいものだ。

最後は’64の代打で地域の違う’66。

この作り手をご存知の方がいらして、

「これが一番」とおっしゃった。そのくらい

「熟成のブルゴーニュはこうゆうものだ」と

胸を張って言える内容。

雨上がりの森を歩いていると、よけた木の葉の下から

小さな生き物の息遣いなどが見えてくるような

驚くべき表現力。皆は’66シャンベルタンか’71か

盛り上がっている時にこの’66の魅力を見つけたのは

すごい方だなと、こちらも勉強になった。

つまみはオードブルとしてサラダ、リエット、うに玉、

ホタテマヨネーズ。

温かいオードブルは今回が2度目のかます酒盗焼。

すしはインドマグロヅケ、平目昆布〆、酒蒸しタコ

鶏のオレンジソースの後は夏カキいちご煮。

そして今回一番美味いと言われた‛タコ飯’で〆となった。

銘酒と塩だけで炊いたタコの煮汁で炊いた‛たこ飯’。

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2019年7月9日(火)

旨味の多いフグに合わせるのには

やはり懐の深いワインが良いようだ。

今回は熟成30年以上のシャンパーニュ2種(3本分)

それに知名度は低いが飲めば納得の3種を合わせた。

欠員が出たので’66のコトードレヨンはお休み。

初めはシャルドネに押されてすっかり影の薄い

ボルドー辛口。

若い時から酸味が穏やかで飲みやすいが、

30年以上の熟成でさらに後味が長くなり、

料理を邪魔しないマリアージュを楽しめる。

次はAOCの礎を築いたルロワ男爵フォルテイアの白。
お店でこれを寝かせているところがあれば

すぐに常連になった方がいい。

香りに個性があるがそれは癖ではなく、

全てを許してしまう大らかさ。

ボルドーでは出せなかった円やかさは

ふぐの旨味と絶妙の組み合わせ。

次のドイツ、それもラインの70年代は

「真実を知るまた一つの方法」かもしれない。

他の2本にはない優しさあるいは慈しみを感じる。

それはふんわりとした軽いダウンをまとったようで、

同じドイツでもモーゼルのような時折見せる

几帳面な酸味ではない。その理由の一つは

10%くらいと思われる低いアルコール度数。

人気ではフランスやイタリアに負けているが、

これは旨味の多い和食に合う。

そして熱烈なファンがいる ド カステラーヌ80年代。

このころは今より味が濃く、更にマグナムなので

瓶詰ストレスも少なく、美味しい原酒の割合が多い。

ゴクゴク何時までも飲める味わい。

予算に糸目をつけなければ毎日飲みたい一本だ。

最後の泡物もNVだが60年代蔵出しの優れもの。

このレベルの味は別次元で全ての料理そつなくこなす。

つまみは今まで封印していた隠し玉のような

一見ただの焼き魚だが食べると旨味の塊に

皆驚く。

それはあまり美味いと言ってもらえない「カマス」

を焼いただけなのだが、その味付がミソ(味噌ではなく)で

カツオの塩辛の‛酒盗’に一晩酒と一緒に漬け込み、

焼いたもの。これだけ見ると頼りないが、

味は(大袈裟に言えば)旨味が爆発するほどで、

「かますってこんなに美味しい魚だったのですか?」

と聞かれ女将共々にっこり。

次の鶏は見た目はただの照り焼、

でもジャカール処理して秘伝のタレに一晩漬けているので、

中まで味が染みている。

ドイツワイン(ルーランダーとヴァイスブルグンダー)

に合わせたのが最高とお褒めを頂いたので

この後のチーズケーキまで飲むことになった。


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2019年3月31日(日)

昨日は生憎の天気でワインの温度管理が

難しかった。

昼の時点では至って良好だった

100歳と57歳は本番で香りがしぼんでしまった。

一方、3種のポマールは絶好調で

特に’83はただの村名にも関わらず

腕利きのネゴシアンものなので

メインと2番手がお休みしている間を

豊な表情でつないでくれた。

テイスティング時に今一つで心配だった

’76は本番ではゆっくり開花し、

最後まで穏やかな表情を崩さなかった。

この作り手は評判が芳しくないが、

状態の良いもの(ヴインテージ含め)を

選べば十分に楽しむことができる。

一般にオスピスドボーヌのもので外れは少ない。

ワインも開けてみるまでは中身が分からないので

保険の為に選んだ’48は1級畑の物ということもあり、

昨夜の抜栓時、昼のテイスティング時、何れも良好で

最後まで力強い潜在能力を感じさせてくれた。

後でこっそり「これ買いたいのですがありますか?」と

聞かれたほどだった。

100歳と57歳を事務所の一番温かい’神棚’に上げ

開花を祈願したお蔭で味と香りが回復し、一同大喜び。

これがダメだったらこちらは’切腹か’と思ったが

首がつながり最後の滓まで楽しんで頂けたようだ。

3種縁側、左から平目、ナメタガレイ、松皮カレイ



左2個はインドマグロヅケ、本マグロトロ

左からホッキ貝(1個を2つに切った)、アイナメ、平目昆布〆

はまぐり椀(身は2個分)

新しいスペシャリテの穴子いちご煮

このスペシャリテは「牡蠣のいちご煮」と共に製作中で

「自分だけ飲むんじゃないよ」というお上の声で

穴子にもワインを一晩飲ませ(マリネ)

じっくり煮込んでから焼いて、いちごソースをかけたもの。

このソースが一番人気で前回同様’皿舐め’続出。




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