2019年2月4日(月)

評論家たちが「これが美味い!」と口々に

言っているので昨夜のワイン会で試してみることにした。

一番若くて’83なので初めての人は驚いただろう。

円やかでバランス良すぎの’82のパヴィヨンルージュ。

ふつうならこれがトリだと思われる風格の’78.

そして最初の衝撃の’63.

まったり甘くベルガモットの世界に一同小さい歓声を上げる。

「なんでこんな香りになるの?」と。

それでも飲み進んでいくと’61が一番若々しく

飛び切り美味いことに驚愕する。

これを造った当主がここを引き継いで40年で、

一番出来が良かったと。

更にフルボトルしか製造していないにもかかわらず

この年だけマグナムを詰めたらしい記事を’教科書’で発見。

飲み初めから良い香りがするが

最後の滓の中になるほどバラに近い’ゼラニウム’の香りがした。


今まで体験したことのないこの香りは正確には’ペラルゴニウム’のらしい。

つまみは

サラダ(シャンパーニュヴィネガーとグレープシーズオイル)

ツナリエット、シーフードハムのホタテとカキ、食用ほおずき

お寿司は 

ワタリガニの卵塩辛、ぼたんえびとエビッコ塩辛、インドマグロヅケ

アントレはアニヨーグリエ カシスソース、それに

銀鱈ロースト苺ソース

メインの写真を撮り忘れてアニヨーは骨だけになってしまった。

一番右端の’96バルベラダルバはアニョーと銀鱈のソース用に開けた。

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2018年12月3日(月)

「ワインは酸化すると美味くなる」ということは誰でも知っているが、

 

 

どうすればいいか教えてくれる人がいない。

 

 

教科書にはパニエに寝かせ、デカンタージュすれば

 

 

酸化が促進されヴィンテージワインも美味しくなる、と。

 

 

でも30年以上寝ていたものは、すぐには開かず、

 

 

この通りデカンタージュしても、味が荒れてしまう。

 

 

ワインも寝起きが悪いわけだ。

 

 

それで長年考えていた答えの一つがワインシャワーだった。

 

でも天国へもう少しというところだというのは分かるが、

 

 

それ以上は登れなかった。

 

 

しかしこれに出会い、

 

 

天国への扉が昨晩開いた。

なんのことはない酸素缶だ。

 

 

ワインを保存するのに窒素ガス缶を使うのに、

 

 

その逆をすることに長年頭が回らなかったわけだ。

 

 

このことを実証する場、それが昨夜のワイン会だった。

 

 

一同「そんなことあるの?」と信じなかったが、

 

 

論より証拠で、試したところ何れも素晴らしく開花し、

 

 

天国の扉が開いたと思う。

人数が減ったのでマグナムはやめて、’85リオナから始める。

 

 

ラベルを見ると一瞬ラフィットの造るラカルドンヌを思わせる。

 

 

しかし味わいはもっと上で、そこは一面赤い花畑の中にいる香り、

 

 

そして何処までも甘い味わいが続く。「信じられない」と

 

 

皆思ったに違いない。聞いたこともないそれも外側の

 

 

ACサンテミリオン。とてもしなやかでオードブルに

 

 

よく合う。次もラベルが信じられない’75ドプレサック。

 

 

これと’59ドプレサックは蔵出しで真っ新だ。

 

 

’47カイウと一緒に仕入れたので同じコンディションと思ったが

 

 

コルクを抜いて驚いた。なんとりコルクボトルなのだ。

 

 

コルクの上に’96と’97リコルクした、との印字が。

 

 

ということは、味に特徴が出る。熟成し直して22,3年。

 

 

リコルク時に足した目減り分の新しいワインが

 

 

そろそろ大人になりだして自己主張を始め、

 

 

60年前のワインと瓶の中で馴染まず、

 

 

不協和音を出し始めていたが、

 

 

それが不思議と心地よいのだ。

 

 

ストラビンスキーの春の祭典ではないのだが

 

 

あれほどスリリングではないにしても

 

 

とても不思議な世界が広がる。

 

 

そして’67ヴューシャトーセルタン。

 

 

ここから景色ががらっと変わり、赤い花でも

 

 

ブーゲンビリアからバラとイチゴのシロップになる。

 

 

息もつかせぬ勢いで’64ヴィルモリーヌの甘い温風が

 

 

流れてくる。実はこれが2番目のお気に入り。

 

 

以前飲んだ時も甘く優しく包まれ、

 

 

忘れられない味わいだったのだが今回も

 

 

裏切られない素晴らしさ。でもこれは’70までで、

 

 

オーナーが変わってからは評判を聞かない。

 

 

 

’59はもう還暦なのに年相応にふるまうのを

 

 

ブレンドされた新しいワインが引き留める。

 

 

まだいける、まだいけると。

 

 

そして’53、これが飲みたくて企画したようなもの。

 

 

とにかく素晴らしいの一言。メルローが熟成すると

 

 

ピノノワールに似てくると、言われている通りになっている。

 

 

そろそろとりの’47を開けなくては。

 

 

これに合わせるのはブルーチーズとピーナッツかりんとう。

 

 

ブルーチーズは苦手な人もいるので、十分にバターと

 

 

パナッシェして、スコッチウィスキー入りはちみつをかけた。

オードブルはアワビハム、ツナリエット、タラバガニ、トリュフカマンベール

 

寿司は本マグロヅケ、うに塩辛炙り、〆金華さば炙り

 

カナールロテイ フランボワーズソース、ポテトピュレ

 

左からステイルトン、ゴルゴンゾーラ、ダナブルー、ピーナッツかりんとう

 

 

これらチーズで天国の扉が開いた人もいれば、’64ヴィルモリーヌの

 

 

甘い熱風に煽られて開いた扉の向こうが見えた人もいたはず。

 

 

もちろん私もその一人だったのだが。

 

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2018年11月13日(火)

「生まれ年のワインあります」などと張り紙をしていると

 

時々お客様が入ってくる。

 

「今年50歳だけどいくらするの?」と興味深々。

 

だが、こちらは値段を伝える前に色々聴くことにしている。

 

先方の方はワインをお飲みになりますか?

 

また飲まれるとしたらどんなワインがお好きですか?

 

ところがほとんどの方が

 

「知らない」とお答えになる。

 

ということは古いコルクを開けられるかどうか、

 

ワインに合ったグラスを持っているか、

 

また飲み頃温度を含め、

 

飲み方を知っているかどうか

 

分からないということだ。

 

刺身の柵を切れるかどうか

 

(包丁、まな板、切る能力があるかどうか)

 

分からないのに贈るのと一緒だ。

 

このお贈りたい気持ちは大事だが

 

相手のことが分からないのに

 

ワインを送りたい人の多いことに

 

驚かされる。

 

だから、

 

まず先方さんに「30年以上前のワインを

 

飲んだことがあるのか?」等を尋ねるように

 

促している。

 

もし古いワインを飲んだことが無ければ、

 

「今年20歳のワインから始めてみませんか?」と。

 

それと一番大事な予算も聴くことにしているが、

 

 

これが一番困る。

 

 

相場を知らない、あるいは無視したような

 

 

驚くことをおっしゃる方が圧倒的だ。

 

 

「今年70歳になる先生に贈りたいけど」

 

 

なんと予算が¥10000くらいらしい。

 

 

普通は最低でも¥50000以上にはなると答えると

 

 

「高い」と怒られる。

 

 

仙台から東京まで行くのに高速バスなら

 

 

片道¥2000位からあるが

 

 

新幹線なら¥11200で約5倍。

 

 

これでJRに高いと文句を言う人がいるのだろうか?

 

 

(ニュースにはならないがいるかもしれない)

 

 

良識のある人なら内容が違うので

 

 

値段も違うことは了解のはず。

 

 

でもことワインになると、

 

 

「あんなものぶどうを絞っただけじゃないか」と

 

 

譲らない。

 

 

負けろ負けろのオンパレード。

 

 

なぜ?と聞くが根拠がないらしい。

 

 

良識のある大人にはいろんな意味で

 

 

「常識的なワイン」を飲んでもらいたい。

 

 

そんなこの頃。

 

 

安くて良いものなんて、この世に絶対ありません。

 

 

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