ワイン

2016年4月21日(木)

 

最高に美味しいワインはロマネコンティではなく

 

リシュブールと言う人が多い。

 

ロマネコンテイに来た客を帰りに自分の家に連れてきて、

 

自分のリシュブールを飲ませ、

 

このワインの方が美味しいと言って憚らないのが、

 

共同経営者だったルロワ。そのような営業努力もあり、

 

アメリカではルロワのリシュブールの方が人気があるようだ。

 

しかし上には上がいて、

 

知名度が低く忘れられつつある中にキラリと光るものがある。

 

この3本はそれぞれ美味しいのだが、

 

左端は有名なロマネコンティで、

 

あのルロワが共同経営に入る前の

 

最後の桶売りを瓶詰したもの。

 

肩に貼ってあるはずのラベルが無く

 

皆が偽物か?と疑ったが、

 

一番へたくそな造り手でテデュレールというらしい。

 

しかし、飲んだ当日は抜栓後4時間以上も楽しませてくれた。

 

次は、一時代を築いたジャングロのもので

 

これもロマネコンテイを凌ぐと言われているもの。

 

そして、同じシャルルでもノエラではなく

 

ダークホースのシャルルヴィエノ。

 

以前ワイン会でリシュブールを飲み比べることにしたのだが、

 

これら6本のうち一番旨かったのがシャルルヴィエノ。

 

圧倒的なバラの香りと胸の奥からとろけてしまうような味わい。

 

これを始めに味わってしまったので、

 

他のワインは皆霞んでしまった。

 

有名なルロワの’88以前のリシュブールの中身は

 

シャルルノエラのものだった。

 

自分のラベルで出すものと他人のラベルが貼られるものと

 

どちらに美味しいワインを入れるだろうか?

 

もちろん自分のラベルに決まっているが、

 

それを軽く上回ったのが黒いラベルのシャルルヴィエノ。

 

ワイン会のメンバー達も最初からこれが出たので、

 

面食らったと思う。

 

ローヌの銘酒を密かにブレンドしていたのは公然の秘密だが、

 

ロマネコンテイを負かす美味しさの前には

 

すべてを許される気がする。

 

ただ、この圧倒的な魅力は誰にも気付かれることなく消えてゆく。

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2016年3月7日(月)

突然面識のない人から「あなたは75点、隣の人は98点」と

 

言われたら驚いてしまう。

 

しかし基準はどうであれ、物事をはい、

 

いいえで言う人たちにはこれが嬉しいらしい。

 

はっきり言わないまでも誰もが良いと認めている物に

 

分かりやすい点数を付ける、

 

それは画期的なことだろうが本人の承諾を得ずに

 

付けてしまったことは問題で、

 

これは有名な話だが点数を付けた人は犬をけしかけられたらしい。

 

写真の左端の物など「ぜひとも点数を付けてください」と

 

お願いしたらきっと、

 

「マイナス30点」と言われるかもしれない。

 

なぜなら、力強いタンニンが無く

 

色も味も薄く、そしてアルコール度数が低い(12%)。

 

しなやかでのど越しが良く、

 

チャーミングな味わいでいくらでも飲めてしまう、

 

そしてまだとても若々しい、

 

そんな美味しさは絶対評価されないだろう。

 

まして外れと言われている1952年製。

 

今から64年前のロゼ(キャップシールがピンクでロゼの印)

 

を含め色々飲んだが、

 

このしなやかでチャーミングなものが一番皆の心を響かせたのを

 

知っているのは当夜の参加者以外誰もいない。

 

これの妹分1957年(マグナム)を3月26日に開けることにした。

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2016年2月7日(日)

 

先日お会いしたマダムが、「ワインを飲むと頭が痛くなる。

 

そしてお店で飲むと頭が

 

痛くならないけどグッときて酔い心地が悪い。」と。

 

この話題で立話なんと40分。

 

わたしも真面目(くどいだけだが)だがこのマダムもまじめすぎ。

 

話がもっと続きそうなので、

 

理論ではなく証拠を見せることになったのだが午前11時。

 

真昼間だし初対面なので、

 

一番肝心のグラスの重要性を水で検証することに。

 

水の味の変わるグラスと大量生産の何を飲んでも変わらないグラスで

 

「純水」の飲み比べ。

 

余りの違いに驚き感心され、

 

「何か1本」という事で店主のハウスワインをお買い上げ。

 

2日後、やはり朝一番でご来店され、

 

「旨かった!1本一気に飲む勢いで飲めて、

 

頭が痛くならなかったし、酔い心地も悪くなかった」と

 

ご評価頂きほっと一安心。

 

偶然にも翌日、同じような疑問をもつ別のマダムが来店され20分立話。

 

お二人ともが口をそろえて言うには、

 

「自分たちに合うワインを選ぶ情報がない」、と。

 

どこに行って誰に聞けば飲みやすく、

 

酔い心地の良いワインに出会えるのか?

 

その答えはここにあると言えばいやらしくなってしまうが、

 

少し説明してみよう。

 

第二次大戦後、徐々に経済活動が盛んになり

 

ワインの生産量も増加してきたが、

 

オイルショック、ワインゲート事件などによりワインの価格が暴落した。

 

 

それに追い打ちをかけるように政権交代した社会党の

 

ミッテラン政権による

 

主要企業の国営化と相続課税の増加により

 

ぶどう畑を手放す生産者が増え、

 

次の相続の為に色々テクニックを駆使する者が増えた。

 

各地の生産者がFAXで直販を始め、現在も続いているが、

 

ごまかしの過ぎるネゴシアンが駆逐されてきた。

 

(最近はピエールブレ)

更に技術革新という名のもとに1995年ごろから

 

幅を利かすようになった、

 

ぶどう果汁の水分を凝縮或いは除去技術、

 

樽熟成もどき(オークチップで香り付)等、

 

生産者にとって、ぶどうの出来が悪くとも何とか美味しく(?)

 

造れてしまう今話題の「麻薬」のような物。

 

そして悪酔いの原因と考えられる農薬、亜硫酸、補糖。

 

一番知られていないが、

 

この補糖しすぎがグッとくる酔い心地の悪さの原因かもしれない。

 

ぶどう果汁を水増しし、補糖、

 

そして樽熟成させると美味しい雰囲気になる。

 

それを温度管理せず、

 

流通させたものを飲むとグッときて酔い心地が悪くなる。

 

一言で言えば簡単だが、これが現実かもしれない。

 

志の高い、国内の生産者のワインも

 

試飲会で試すと良いのだが、

 

店で一般消費者と同じに棚から購入すると悪酔いする。

 

この、流通段階で温度管理しないのも悪酔いに拍車をかける。

 

なぜか、だれも大声で言わないが

 

「ワインは瓶に入ったお刺身なんだ」と。

 

以上の事から分かるように、

 

無農薬(減農薬)、最低限の亜硫酸使用、

 

少ない補糖、流通時の温度管理、

 

これらの条件を満たしたものが

 

酔い心地のよい「飲み疲れしないワイン」と言える。

 

写真のワインは生産者がバラバラだが、

 

ぶどうの出来が良かった1959年の空輸物、

 

もちろんでセラーで温度管理しているので、飲み疲れしない、はず。

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