ネットで安く売っているのに「なぜお宅のワインはそんなに高いの?」と、
よく聞かれるのでこのように説明している。
「ワインは瓶に入ったお刺身」なので
空輸して定温冷蔵庫で保管しています。
その保管料が年間¥500で、20年物だと¥10000になり、
それにワイン代が加わるので、
20年物のワインは¥10000以上になって
しまいます、と。
船で運んで、出しっぱなしにすれば(温度管理しなければ)
安く売れる。が、全然美味しくないし、
感動が無いのは、
何の為に飲むのか自分にはわからないので、しない。
だれかの誕生日だったり、何かの節目を思い起こしながら楽しむ予定が
肝心のワインが不味ければ台無しになってしまうはずだ。
このように
経費をかけてまで飲んでもらいたいワインを扱っていると言うと、
変人扱いされてしまう。(勿論、変人で結構であるが)
先日もうちで¥35000の1973年のワイン(写真左端)が
高すぎるというクレームが来た。ネゴシアン物とはいえ、
コルトンシャルルマーニュだというのに。
モンラッシェと双璧をなす白の最高峰と言われているが、
有名だけど「美味しかった」という声をあまり聞かない、
という事でも有名な代物だ。
何故ならば、
このワインはミネラルが多すぎるために熟成が遅く、
更に、風通しの良い丘の畑なので
モンラッシェのように貴腐菌が付きにくい。
ロマネコンティのモンラッシェだけは例外で、
円やかさを出すのに
たっぷりと貴腐ぶどうを入れて造るようだが、
それでも2,30年で飲んでもまだ早いようだ。
そのモンラッシェよりもさらに貴腐菌が付きにくい
このワインがまったりと熟成してこなれてくるのには、
もっと時間がかかる。更に、嫌がらせ?と思われるほど
抜栓して1週間以上待たないと味と香りがしてこない。
それでも、
この面倒なことをするだけの価値のあるワインなのだが、
クレームの話に戻るが、一度ネットより高いと思い不信感が募ると、
こちらの説明は頭に入らないし、まして飲み方などワインの特徴など
気にも止めなくなり、さらにグラスにまで遠く考えが及ばない。
最高と思われえるものを提案しても
なかなか理解してもらえないのは、
信用がないことのあらわれだろう。
最近は常温で店先に並べておいても安心
(売っている方の気休め)
なように、ビタミンCなど
保存料的な物の添加も認められるようになったようで、
飲んで美味しい為でなく、
売っている方が美味しい(儲かる)ことを
益々優先しているわけで、
味を優先してコストをかけている
こちらの「負け」のようだ。
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