2017年11月10日(金)

ネットで安く売っているのに「なぜお宅のワインはそんなに高いの?」と、

 

よく聞かれるのでこのように説明している。

 

「ワインは瓶に入ったお刺身」なので

 

空輸して定温冷蔵庫で保管しています。

 

その保管料が年間¥500で、20年物だと¥10000になり、

 

それにワイン代が加わるので、

 

20年物のワインは¥10000以上になって

 

しまいます、と。

 

船で運んで、出しっぱなしにすれば(温度管理しなければ)

 

安く売れる。が、全然美味しくないし、

 

感動が無いのは、

 

何の為に飲むのか自分にはわからないので、しない。

 

だれかの誕生日だったり、何かの節目を思い起こしながら楽しむ予定が

 

肝心のワインが不味ければ台無しになってしまうはずだ。

 

このように

 

経費をかけてまで飲んでもらいたいワインを扱っていると言うと、

 

変人扱いされてしまう。(勿論、変人で結構であるが)

 

先日もうちで¥35000の1973年のワイン(写真左端)が

 

高すぎるというクレームが来た。ネゴシアン物とはいえ、

 

コルトンシャルルマーニュだというのに。

 

モンラッシェと双璧をなす白の最高峰と言われているが、

 

有名だけど「美味しかった」という声をあまり聞かない、

 

という事でも有名な代物だ。

 

何故ならば、

 

このワインはミネラルが多すぎるために熟成が遅く、

 

更に、風通しの良い丘の畑なので

 

モンラッシェのように貴腐菌が付きにくい。

 

ロマネコンティのモンラッシェだけは例外で、

 

円やかさを出すのに

 

たっぷりと貴腐ぶどうを入れて造るようだが、

 

それでも2,30年で飲んでもまだ早いようだ。

 

そのモンラッシェよりもさらに貴腐菌が付きにくい

 

このワインがまったりと熟成してこなれてくるのには、

 

もっと時間がかかる。更に、嫌がらせ?と思われるほど

 

抜栓して1週間以上待たないと味と香りがしてこない。

 

それでも、

 

この面倒なことをするだけの価値のあるワインなのだが、

 

クレームの話に戻るが、一度ネットより高いと思い不信感が募ると、

 

こちらの説明は頭に入らないし、まして飲み方などワインの特徴など

 

気にも止めなくなり、さらにグラスにまで遠く考えが及ばない。

 

最高と思われえるものを提案しても

 

なかなか理解してもらえないのは、

 

信用がないことのあらわれだろう。

 

最近は常温で店先に並べておいても安心

 

(売っている方の気休め)

 

なように、ビタミンCなど

 

保存料的な物の添加も認められるようになったようで、

 

飲んで美味しい為でなく、

 

売っている方が美味しい(儲かる)ことを

 

益々優先しているわけで、

 

味を優先してコストをかけている

 

こちらの「負け」のようだ。

 

 

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