2016年5月31日(火)

「このまま行けば綺麗な景色が見られますよ」と言いながら、

 

山の登り口までしか来ない人と、

 

「景色の良いところをお見せします」と言って、

 

一緒に山を登ってくれる人とどちらがいいのだろうか?

 

答えは勿論後者の方だが、ワインを飲むのも登山と一緒で、

 

先達に付き添ってもらい、味の景色の見せ場を存分に味わいたい。

 

飲んでから「このワインはなぜ旨いのか?」との理論は後付けでいい。

 

その場合、教科書の知識と違い、

 

実践を積んでいないと味の流れも見えない。

 

山の天気が、これから晴れるのか曇るのか、

 

このワインの味が開くのか閉じたままか?

 

この判断を下すのはまるで登山と一緒で、

 

古い20年以上寝かせたワインを、

 

その場で開けるか、前日に開けて待つか、この辺も経験が物を言う。

 

その経験にも色々あり、

 

〇国ホテル出身のソムリエの店を紹介されたところ、

 

「うちではパーカーポイント90点以上の物しか置かない」

 

と言われ驚いてしまった。

 

この店の提供するのは、ワインの美味しい景色ではなく、

 

「良い点数の付いたワインを飲めるのは幸運なこと」という

 

絵に描いた餅のようなものだった。

 

このソムリエはパーカーポイントという山の8合目しか知らない。

 

百歩譲ってそれも素晴らしいのだろうが、

 

世の中それがすべてのように

 

言われても合点がいかない。

 

確かにこのポイントは画期的なことで、

 

今まで皆が認めていたワイン達に「ここ大事だよ」と

 

アンダーラインを引いたようなものだから。

 

このようなことを踏まえて、

 

SNSなどを使い十分に人物を調査をした上で

 

道先案内人を選ばないと時間が無駄になってしまう。

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2016年5月17日(火)

 

習い事をするには道具を揃えなくてはならないのは

 

誰もが知っていることで、

 

習字の筆、武道の道衣、球技のラケットやスパイク等それぞれ色々ある。

 

そろばんの暗算もそろばんを揃えておかないとできないが、

 

ワインに関しては違うようだ。

 

「グラスを買う予算があったら、もっとワインを飲め」

 

とばかりに

 

大事な道具のはずのグラスの話は後回しが多い。

 

確かに100円ショップのグラスでも空き缶でも紙袋でも、

 

さらに手ですくっても飲むことはできる。

 

しかしそれで旨いか?本当の味がわかるのか?

 

経験を積んだ目利きならば、

 

生地見本を見てどんな服になるか分かるように、

 

紙コップの試飲会でも良いものを選べるだろう

 

(あくまでもプロの話だが)。

 

写真のグラスは左がブルゴーニュタイプで、

 

単一品種つまり原料のぶどうが1種類のものに向く。

 

もちろん例外はあるがほぼ間違いない。

 

右の方はボルドータイプで原料が複数種使われている物に

 

合うとされている。

 

ワインは1998年ロッソディディモンテプルチアーノで、

 

ぶどう品種は単一品種のプルニョーロジェンテイーレ。

 

両方のグラスに同じ量注いだが、傾けてみると色がだいぶ違う。

 

味も見えるとおりで、左のグラスでは味わいが薄く柔らかくなり、

 

右のグラスでは濃く締まった味だ。

 

この品種特有の花の香りも左では感じるが、

 

右ではあまり出ない。

 

専門の資格を持っている人達には当然のことだが、

 

右のようなグラスや紙コップの試飲会でも、

 

左のグラスで飲むような味と香りを想像できないと

 

料理とのマリアージュ等語ることができないと思うがいかがだろうか?

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2016年4月21日(木)

 

最高に美味しいワインはロマネコンティではなく

 

リシュブールと言う人が多い。

 

ロマネコンテイに来た客を帰りに自分の家に連れてきて、

 

自分のリシュブールを飲ませ、

 

このワインの方が美味しいと言って憚らないのが、

 

共同経営者だったルロワ。そのような営業努力もあり、

 

アメリカではルロワのリシュブールの方が人気があるようだ。

 

しかし上には上がいて、

 

知名度が低く忘れられつつある中にキラリと光るものがある。

 

この3本はそれぞれ美味しいのだが、

 

左端は有名なロマネコンティで、

 

あのルロワが共同経営に入る前の

 

最後の桶売りを瓶詰したもの。

 

肩に貼ってあるはずのラベルが無く

 

皆が偽物か?と疑ったが、

 

一番へたくそな造り手でテデュレールというらしい。

 

しかし、飲んだ当日は抜栓後4時間以上も楽しませてくれた。

 

次は、一時代を築いたジャングロのもので

 

これもロマネコンテイを凌ぐと言われているもの。

 

そして、同じシャルルでもノエラではなく

 

ダークホースのシャルルヴィエノ。

 

以前ワイン会でリシュブールを飲み比べることにしたのだが、

 

これら6本のうち一番旨かったのがシャルルヴィエノ。

 

圧倒的なバラの香りと胸の奥からとろけてしまうような味わい。

 

これを始めに味わってしまったので、

 

他のワインは皆霞んでしまった。

 

有名なルロワの’88以前のリシュブールの中身は

 

シャルルノエラのものだった。

 

自分のラベルで出すものと他人のラベルが貼られるものと

 

どちらに美味しいワインを入れるだろうか?

 

もちろん自分のラベルに決まっているが、

 

それを軽く上回ったのが黒いラベルのシャルルヴィエノ。

 

ワイン会のメンバー達も最初からこれが出たので、

 

面食らったと思う。

 

ローヌの銘酒を密かにブレンドしていたのは公然の秘密だが、

 

ロマネコンテイを負かす美味しさの前には

 

すべてを許される気がする。

 

ただ、この圧倒的な魅力は誰にも気付かれることなく消えてゆく。

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