ヴィンテージワインだけでなくワインを飲む時に、
とても大事なことがあります。
それは飲む順番を間違えない事です。
それはどう言うことかと言うと、
大抵の人が先にワインを飲んでから食べ物を食べます。
特にワインと料理のマリアージュなどという時は
ほとんどそうだと思います。
飲んだワインを飲みこまず、あるいは牛のように反芻して
食べ物と合わせる人はいないと思いますが、
普通は飲み物が口に残らずマリアージュはできません。
そのため料理の味が強くてしょっぱく感じられます。
それで特にフレンチ等では(とても馬鹿げたことですが)
病人食のように塩味を控えます。
これを知らないお客様に、この理屈を説明して、
味の表現力のあるヴィンテージワインを美味しく飲むには、
先に少し塩味を強めにした料理を食べて、
それから料理をお召し上がりください、と
言えば済み、とても良いマリアージュを楽しめます。
以前ご一緒した方が、
自分は関西出身で薄味が普通なので、
東京の味はしょっぱくて苦手ですと。
でも気の利いた良いワインを飲むには、
程度はありますが、
味が濃くて塩味の利いたものでないと、
ワインの良さが引き出せず、
何のためにマリアージュをしているのか分かりません。
もう少し付け加えるならば、
丼物のトッピングとご飯の関係とお考え頂ければ
腑に落ちるかもしれません。
かつ丼のたれの染みたトッピングの’かつ’
だけを食べればしょっぱいですが、
これは下のご飯と食べて完結します。
うな丼もしかりで、トッピングのうなぎだけ食べて、
’しょっぱい’と店主を呼びつけて説教する人はいないはず。
日本で暮らす人であれば国籍を問わずこのような
味のないご飯にトッピングを経験しているはずです。
サンドイッチのパンと中身の具の関係と同じです。
ですからソムリエさんが顔色のさえない客たちに向かって、
苦しい言い訳の「塩味が強くてすみません」といい、
甘目のデザートを1品サービスするという
客観的に見たら噴飯ものの対応を、
自分も何度も経験しています。
仮にサービスのデザートが最高に美味しくとも、
次の来店には繋がらないのは明白だと思います。
結論はとても簡単ですが、
先に料理を食べて少し口の中に味わいが残っている時に
ワインを飲むのが正しいマリアージュと考えます。
もちろん一口ごとにナプキンで口を拭いて、
グラスが汚れないようにするのは当然ですが…