2025年5月22日(木)
なぜフランスより美味しいマリアージュができるのか?

 

特別な愛好家達を除けば、最近のフランス人は古いワインより若いワインを

 

飲む傾向にあります。

 

更に日本と比べればどうしても「うま味」の捉え方が違い、

 

以前よりは昆布や鰹節を使う人も増えてきましたが、

 

生の食材からの出汁を取るのが主流です。

 

それらを考えると日本人にとっては普通の

 

写真のような寿司は中身を精査するととんでもないものだ、

 

ということが分かります。

 

まず寿司飯を炊く時に昆布を入れて炊き、トッピングのネタに付ける醤油には

 

既に出汁が入っているという事実は日本では当たり前すぎて

 

誰も話題にすらしません。

 

更に出汁の入った卵焼きに乗っているのは「うにの塩辛」です。

 

酒と塩、それに甘みを隠し味程度に入れたものに、

 

殺菌洗浄した生うにを入れて1週間漬け込みます。

 

生うにがとろっと甘いだけでつまらないので、

 

味を付けながら、調味液の中で水分を絞り、

 

干物(塩辛)にしました。これが赤でも白でも

 

ヴィンテージワインと良く合うんです。

 

これは国籍関係なく日本で暮らしていれば普通に体験できる事で、

 

インバウンドの方達ほど驚きます。

 

私はこの逆のことを1980年頃のフランス滞在で

 

経験しました。

 

それはフランスに来て半年がたった頃、

 

ふと味噌汁が飲みたくなりました。

 

それまでは学食の料理まで美味しいと感じていたので、

 

何も食に関しては不満はなかったはずでした。

 

ところが持参した’永谷園の味噌汁’を飲んだところ、

 

今まで感じたことのない衝撃を感じました。

 

それこそ五臓六腑に染みわたり、それまで完璧に忘れていた

 

うま味と優しさが胃袋から全身に広がりました。

 

これを読んでいる人は「何を大げさな!」と思うでしょうが、

 

出汁のない世界で半年以上暮らしてみると、

 

同じ感動を味わえると思います。

 

つまり日本でマリアージュについていえば、

 

チーズやトマト、肉類の旨味はヨーロッパでは感じられますが、

 

圧倒的に旨味を持つ乾物の出汁と醤油、味噌等発酵調味料が

 

ヴィンテージワインと最高の相性を感じることが出来るのです。

 

でもこれらの事は秘密ではないにも関わらず、

 

星付きのお店で乾物の出汁を使ったり、

 

寿司屋でヴィンテージワインをなぜか出しません。

 

40年以上前のヴィンテージワインと寿司の相性は最高で、

 

日本酒以上のマリアージュを体験できると言っても、

 

信じない、または試そうとしない人であふれています。

 

不思議な国、ニッポンです。

 

甘酸っぱいワインに甘酸っぱい酢飯。

 

対比効果で日本酒以上互いの良さを感じることが出来て、

 

ワイン単独で飲んだ時より、

 

寿司を頬張りまだ飲み込まないうちにワインを流し込むと、

 

これぞ「マリアージュ」の典型を体験できます。

 

これを読んで興味を持たれた方はぜひ仙台にお越しください。

«

PAGE TOP