2019年12月10日(火)

 

よく耳にする名前だがお店で気軽に飲めるものではないはず。

 

 

今回はロマネコンティと同じ区画に畑を持つ腕利きと

 

 

本丸のロマネコンティの隣に畑を持つ作り手などを確認した。

 

 

初めはお馴染みになってしまったマム’85から。

 

 

35年経ってもコルクを自分で持ち上げるほどのガス圧で

 

 

保管状態の良さが伺える。その証拠にまだ’すっぱい’。

 

 

これは驚異的なことだが古いワインを知らない人にとっては

 

 

何のことか分からないかも知れない。

 

 

この酸味が寿命の長さの証だし、これだけきれいに酸が残っていると

 

 

全体の味のバランスも素晴らしい。オードブルが半分以上あるのに

 

 

あっという間に空いた。

 

 

当たり年のそれも’83グランゼシェゾーが次に続いたが、

 

 

もうこれが’とり’か?と思われるほど素晴らしい出来映え。

 

 

これだけでゾーンに入ってしまったメンバーがいたことでも

 

 

すごさが分かる。この作り手が知る人ぞ知る

 

 

コカール、ロワゾン、フルロ。’80代相続の為に

 

 

3つの親族が合併してできたドメーヌ。

 

 

これが最後の1本で探しても見つからない。

 

 

’80アンリドヴィラモンはあのバロレコレクションで有名な

 

 

財閥。しかしこのボトルは目覚めが遅く、

 

 

2度のデカンタージュをワインシャワーでやったにもかかわらず

 

 

寝ているので、1杯注ぐごとに酸素吸入をしたところ

 

 

香りに表情が現れ、甘みが出て味の輪郭も出た。

 

 

今回は残念ながら’76ロワゾンと’71にも同じ傾向が出たが

 

 

3本とも酸素吸入で無事時間内に生還し、

 

 

皆の喝采を浴びた。前日抜栓から一人旅絶好調の’76

 

 

ラマルシュはスキップで跳ねるように舌で弾む。

 

 

更に香りもスプレーしたように瓶から溢れてくる。

 

 

「この作り手は良いところに畑があるのに下手だ」と

 

 

訳知り顔で言いふらす人がいるお蔭で

 

 

美味しい思いをすることができる。

 

 

この成功を機に来年中にもう一度

 

 

エシェゾーとグランエシェゾーを楽しむことにする。

オードブルはいつもの うに玉、トリュフカマンベール、酒蒸しヤリイカ、

ツナリエット、ほおずき

本まぐろヅケ、ぼたんえび、ほうぼう

ピノノワールには定番のカナールロティとポテトピュレ

前回も好評だった’アイステイラミス’

 

 

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2019年8月3日(土)

夏のシャンベルタンは美味いのか?

これを確認するため27日に皆さんにお集まり頂いた。

ブルゴーニュワイン、特にピノノワールは18℃くらいの

室温で飲まないといけない、

と頑なに信じている人が多いようだが

若いワインを樽からテイスティングするのならば別だが、

我が家のように‛若くても80年代から’の場合

当てはまらないと思う。

また天気が悪く気圧が低いと揮発成分が抑えられ、

気温が高くとも「いい香りが少なくなり味わいも寂しくなる」

らしい。

しかし耳元でライオンが吠えるような猛烈で妖艶な香りの

ルロワの1985年マジシャンベルタンを持って来なくとも

今回のラインナップで十分に楽しめた。

気温が30度を超えると冷たく爽やかなもので始めたいので、

我が家のハウスシャンパーニュ的な1987年アンリグトルブから。

蔵出し空輸の為鮮度抜群で、

更に二次発酵をしていないのでリンゴ酸が沢山含まれており、

何時までも出来立てのような若々しさが残り、

裏を返せば酸味が丸くならず、

美味しく飲めるようになったのはここ5,6年。

熟成が30年を越えても古さを感じさせず、

普通の5倍くらいの香りがグラス一杯に広がる。

これは普通のグラスでは感じられず、

ロブマイヤーグラスの成せる業。

一同暑くて喉が渇いていたと見えて、

ゴクゴク飲んでオードブルを半分食べたところで終了。

いよいよシャンベルタンを少しずつ若い順から始めるが、

不幸にも’76と’64が峠を過ぎてしまっていたようで

代替えに’66アロースコルトンと’78ジョフロワの1ERを

当てた。

’88のシャルムはまだ若く香りの強さはあるが

味わいがほぐれず、奥行きがまだ浅いが十分美味い。

’78シャルムは名手ダユの手によるもので

底知れぬ美味さが出てくるまで時間がかかった。

その間に’76の代打のジョフロワ。

畑の名前は書いていないが、はつらつとした

申し分のない完成度は当たり年の成せる業。

今回の‛とり’といっても良い’71.

当たり年の’71更に作り手はルイジャドとなれば

「飲む前から結果が分かる」素晴らしさ。

いつまでも飲んでいたい1本。

そしてルイラトゥールの何もつかないシャンベルタン。

’66という良い年に恵まれ、今が熟成のピーク。

こういうワインなら毎晩皆を集めて飲みたいものだ。

最後は’64の代打で地域の違う’66。

この作り手をご存知の方がいらして、

「これが一番」とおっしゃった。そのくらい

「熟成のブルゴーニュはこうゆうものだ」と

胸を張って言える内容。

雨上がりの森を歩いていると、よけた木の葉の下から

小さな生き物の息遣いなどが見えてくるような

驚くべき表現力。皆は’66シャンベルタンか’71か

盛り上がっている時にこの’66の魅力を見つけたのは

すごい方だなと、こちらも勉強になった。

つまみはオードブルとしてサラダ、リエット、うに玉、

ホタテマヨネーズ。

温かいオードブルは今回が2度目のかます酒盗焼。

すしはインドマグロヅケ、平目昆布〆、酒蒸しタコ

鶏のオレンジソースの後は夏カキいちご煮。

そして今回一番美味いと言われた‛タコ飯’で〆となった。

銘酒と塩だけで炊いたタコの煮汁で炊いた‛たこ飯’。

クリアスペース
2019年7月9日(火)

旨味の多いフグに合わせるのには

やはり懐の深いワインが良いようだ。

今回は熟成30年以上のシャンパーニュ2種(3本分)

それに知名度は低いが飲めば納得の3種を合わせた。

欠員が出たので’66のコトードレヨンはお休み。

初めはシャルドネに押されてすっかり影の薄い

ボルドー辛口。

若い時から酸味が穏やかで飲みやすいが、

30年以上の熟成でさらに後味が長くなり、

料理を邪魔しないマリアージュを楽しめる。

次はAOCの礎を築いたルロワ男爵フォルテイアの白。
お店でこれを寝かせているところがあれば

すぐに常連になった方がいい。

香りに個性があるがそれは癖ではなく、

全てを許してしまう大らかさ。

ボルドーでは出せなかった円やかさは

ふぐの旨味と絶妙の組み合わせ。

次のドイツ、それもラインの70年代は

「真実を知るまた一つの方法」かもしれない。

他の2本にはない優しさあるいは慈しみを感じる。

それはふんわりとした軽いダウンをまとったようで、

同じドイツでもモーゼルのような時折見せる

几帳面な酸味ではない。その理由の一つは

10%くらいと思われる低いアルコール度数。

人気ではフランスやイタリアに負けているが、

これは旨味の多い和食に合う。

そして熱烈なファンがいる ド カステラーヌ80年代。

このころは今より味が濃く、更にマグナムなので

瓶詰ストレスも少なく、美味しい原酒の割合が多い。

ゴクゴク何時までも飲める味わい。

予算に糸目をつけなければ毎日飲みたい一本だ。

最後の泡物もNVだが60年代蔵出しの優れもの。

このレベルの味は別次元で全ての料理そつなくこなす。

つまみは今まで封印していた隠し玉のような

一見ただの焼き魚だが食べると旨味の塊に

皆驚く。

それはあまり美味いと言ってもらえない「カマス」

を焼いただけなのだが、その味付がミソ(味噌ではなく)で

カツオの塩辛の‛酒盗’に一晩酒と一緒に漬け込み、

焼いたもの。これだけ見ると頼りないが、

味は(大袈裟に言えば)旨味が爆発するほどで、

「かますってこんなに美味しい魚だったのですか?」

と聞かれ女将共々にっこり。

次の鶏は見た目はただの照り焼、

でもジャカール処理して秘伝のタレに一晩漬けているので、

中まで味が染みている。

ドイツワイン(ルーランダーとヴァイスブルグンダー)

に合わせたのが最高とお褒めを頂いたので

この後のチーズケーキまで飲むことになった。


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