2018年5月28日(月)

土曜日は恒例のワイン会。

 

フィルターが存在しない時代のワインは「どんだけ~」と

 

声をあげるほど美味かったかを確認するために、

 

ヴィンテージの近いもの、また畑も本丸の両隣等を選ぶと、

 

何れも個性豊かで魅力的だった。

 

普通のワイン会ならどれも主役を張れるが、

 

圧巻は美味しいをあまり聞かない「ラ ロマネ」。

 

実はこれが下手な本丸よりもずっと旨い。

 

見つけたら「女房を質に入れてでも買うように」と。

 

そのわけは生産量が本丸のロマネコンティより

 

平均で1000本以上少なく、

 

値段よりも現物が出てこない。

 

特にこのような70年代の物などは

 

現地のプロからもオファーがない。

 

フィルターで濾されていないワインが

 

熟成するとどうなるのか?

 

これが一番聞きたいポイントだと思うが、

 

色が薄く、軽やかだが旨味をたっぷりと感じ、

 

当たり前だが真っ当な味がする。

 

補糖によってアルコール度数を上げ過ぎた、

 

一瞬美味いと思わせる’95年ころからのワインのような

 

強い酔い心地ではなく、

 

いつまでものんびりと浸かっていたい湯加減のような

 

優しいそして穏やかな酔い心地。

 

それがグラスにスプーン2杯ほど(20cc)注ぐと

 

余白の部分に反響するように香りの「こだま」も楽しめる。

 

とあっては

 

ワインフリークでなくとも飲まずにはいられないだろう。

 

オードブルの前に一通り味を見ることになり、’80エシェゾーから始める。

 

一番若いから若々しく感じるのは当然だがこれだけ特別の香りと味わい。

 

それでも爽やかな、さくらんぼのような香りと酸味が広がり

 

後で甘みが追いかけてくる。

 

’76トマフレールは有名なモワラーヌの別ブランド。

 

この辺が一番安心して飲める。

 

70年代3か4番目に出来の良い年。

 

’73レオンヴィオランは突然柔らかい物腰になり、

 

全身が解放されるような酔い心地。

 

無名ネゴシアン物だがお勧め。

 

そして’72ラロマネ。

 

開始6時間前に滓だけ残しデカンタージュして

 

その滓を試飲して驚いた。

 

突風が吹いたようなパワーで、飲み込むと

 

突然離陸前の飛行機に乗ったぐらいのスピード感。

 

まるで別世界だ。

 

’71レボーモン、プルミエクリュとして有名なだけでなく

 

70年代一番の当たり年の味がする。

 

当たり年の味とは「香り豊かで、酸味は程よくあるが

 

円やかな味わいころは最後の一滴まで美味しい。」

 

こういうワインをいつも選べば文句はない

 

(予算を考えなければ)。’70サンヴィヴァン、

 

ラベルが裂けて作り手の名前が見えないが、

 

これも無名なネゴシアンでソノワという。

 

この地域特有の水はけの良さからくる軽やかな味わい。

 

80年代、経営が変わる前のシャトーマルゴーのような

 

体にしみ込むような優しさがある。

 

サンヴィヴァンのお手本だが手に入らない。

 

オードブル サラダ、キッシュ、ツナリエット、

 

チーズ(オッソイラテイ、ボスケットトリュフ)

寿司 ぼたんえび塩辛(えびミソ醤油)、うに塩辛、本マグロヅケ

花みょうが シャンパーニュヴィネガーの甘酢漬

牛タンシチュー、3種のキノコソテー

ブルーチーズはちみつがけ

 

ビギナーの方なら’80のエシェゾーから始めるのをお勧めする。

 

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2018年3月29日(木)

美味しいワインを探すには、大袈裟に言えばワインの歴史にも注意するといい。

 

古いものは思い出の味で美味しいと思われているが、それは間違いなく科学的な裏付

 

けがある。というのは1980年初めころまでは濾過用のフィルターがなく、時間を

 

かけて静清させ瓶詰めをしていた。小規模のブルゴーニュ等ではまさに手詰めで、

 

有名なロマネコンティも味の均一化を図るため何樽か混ぜて濾過なく瓶詰していた。

 

今回開けたワイン達も濾過によって旨味や香りが滓と一緒に取り除かれたものと

 

そうでないものの違いが若い順から飲み進めて行くと、70年代から急に胸に迫って

 

くる香り、深い味わいと余韻の長さに、味の景色が変わったと気づかされる。

 

それは今よりも天候に左右され、「ガチ」で収穫量を落として造っていたのと

 

大気温が低く夜間と日中の寒暖の差が15度以上あるという理想的な環境だった

 

現れだからだ。

軽めだがバランスよくできた’88マジシャンベルタン。

トロワグロ等星付きレストランの為に詰められた’85、この鼻を擽る魅力的な香り

 

は他には見当たらず、シャンベルタンと同格を感じさせる。

’78は正にレーズンフレーバー全開で、70年代最高の当たり年と言っても

 

過言ではない味の風格を見せた。

 

’72は外れ年とされていて、

 

価格も安めで探せばまだ見つかるのでお勧めだ。ただ開くのに時間がかかり、

 

前日抜栓は必要。

 

前回のミュジニでも圧倒された名手「クレールダユ」、

 

そのカズテイエ。プルミエクリュながら堂々たる体格で’85よりも

 

スケールが大きく、説得力のある味わい。「これだけでもいい」という人続出。

 

 

パトリアルシュの最後の末裔の名前(ノエミヴェルノ)をつけた1964年の

 

シャンベルタンは圧巻で、「膝まづいて脱帽して飲むべし」は

 

モンラシェだけだけでないことに一同異論はなかったはずだ。

 

オードブルはあわびスモーク、チューリンガーソーセージ、本マグロハム

寿司はインドマグロづけ、平目昆布〆、こぼれ帆立

メインのカナールロティオフランボワーズ、ポテトピュレ、ごぼうロティ

1958年アルマニャックをたっぷりしみ込ませたデセールはオペラ。

 

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2018年2月1日(木)

1月27日のワイン会はシャンボルミュジニの魅力に迫ったはずだった。

 

事の発端はメンバーのAさんが何度説明してもシャンボルミュジニと覚えてくれず、

 

頑なに「ミュジニ」を連呼するので、本当に前に何もつかない、

 

それも名手クレールダユの本物を登場させることになった。

 

ただこのワインだけでも¥250000、ドキドキである。

 

つまみの準備も完了し、いつものシャンパーニュでスタート。

 

これは我が家のスタンダードで輸出用ではないものを蔵から直接買い付けたので、

 

鮮度は抜群だ。その鮮度がどのくらいの物かカーミットリンチ風に言えば、

 

 

「水の中で水中めがねを差し出され、急に視界が開けくっきり見えるようになった」

 

 

感じ。

 

まるで8kテレビを初めて見た時のようで、初めての人は味の際立ちに驚く。

 

 

業界関係者でもこの味を知るものは少ないかもしれない。

 

 

次はラフェ一族のワインだが蔵の情報がないので味わいだけで色々探る、

 

 

これがまた楽しい。

 

続く’85マグナムは先月忘年会で開けたので参加メンバーは知っている味のはずだ

 

 

 

が、今回の全部デカンタージュをした円やかさと最後まで続いた甘みには

 

 

驚いたと思う。

そしていよいよこれを「とり」にしても文句が出ないレベルの

 

レザムルーズ’83の登場。今が絶頂のピークで火の打ちどころなし、

 

といった状態。まるで孔雀が優雅に羽を広げた見事さ、

 

所謂ピーコックテールを見せられたようで、円やかさ、透き通った香り

 

そして何処までも続く甘み、なかなかブルゴーニュワインを飲んで

 

ここまで美味しいのは御目にかかれないのではないか?そんな出来栄え。

 

そのあとの’66、そしてとりのミュジニと続いたのだが、

 

あまりの出来栄えに皆でAさんに感謝したはずだ(たぶん、心の中で)。

 

やはり何もついていないミュジニは最強だった。飲み進んで6本目、ということは

 

他のワインの育ち方を一同確認しながらここまで来たわけである。

 

当然年代の熟成具合を体験してきたはずなのに、矛盾した味と出会う。

 

42歳になっているのに若さの象徴の「渋み」がたっぷりとある。

 

それにものすごく力強い。ブルゴーニュワインの中で一番軽やかで

 

チャーミングなはずがちょっと違う。そのためスプーンで一口くらいの量

 

 

をグラスに注いでも入りきれないスケール感。

 

 

前回のリシュブールの素晴らしさを経験して、怖いもの知らずになっていたはずの

 

 

メンバー一同が驚愕する。逆にこれが1本¥250000だと安く感じる味だ。

 

 

 

しかし私の一番のお気に入りは’83レザムルーズでもこの最強の1本でもなく

 

 

50歳を過ぎているのに軽やかでチャーミングで優しく微笑んでくれた、

 

 

’66のシャンボルミュジニだった。

 

 

これは無名で(私が知らないだけ)ラベルも良く見ずに開けたのだが、

 

 

香りが一番魅力的で「はぁ~」と声が出てしまった。

 

 

皆それぞれに宝物を見つけた「飲む歴史遺産の旅」、収穫が多かったようだ。

 

トマトをマリネしたドレッシングで合えたサラダ、天然紅鮭マリネ、

ほっき貝のワイン蒸し、ほたてスモークバジルソース、フォアグラムース

鶏のオレンジソース

本マグロヅケ、ボタンエビ、クエ(九絵)の寿司

デセール ジャマン特製 ノワゼットのプラリネが入ったガトー

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