2020年6月11日(木)
マグロとワインの共通点 その1

マグロとワインに共通点があると言っても

 

ピンとこない人が多いと思うので

 

まずマグロには天然と養殖(畜養)

 

があるという説明から。

 

1)天然の意味ですが、

 

「あの人天然」と言うのとは違います。

 

生け簀に居る養殖の物との決定的な違いは

 

餌を自分で獲るかどうかです。

 

天然マグロはイワシやイカを食べて、

 

十分に泳ぐので赤身とトロのバランスが良く、

 

食べ飽きない味でスルスルと喉を通り、

 

いくらでも食べられてしまいます。

 

一方養殖物は全身トロにするべくエサを沢山食べさせ、

 

太らせるのでトロが多く赤身は少なくなり、

 

廉価なメキシコ産などは全身トロ状態です。

 

一部国内の養殖物で良いものもありますが、

 

天然物のようにいくらでも食べられてしまうものは

 

少ないようです。

 

味の決定的な違いは’エサ’の臭いがすること。

 

これではワインに合いません。

 

2)次に本マグロが一番か?と言うことですが、

 

答えは「そうです、本マグロが一番」です。

 

普通量販店などで販売している’きはだマグロ’や

 

’びんちょうマグロ’などは安価で販売されていて、

 

その上に’めばちマグロ’があり、

 

そして最高位が天然の’本マグロ’になります。

 

3)マグロの体重ですが、

 

このマグロは体重が164kgあり、

 

大きくなるものは、簡単に言えば、

 

大きい方が美味しい、と言うことになります。

 

通常は50k以下の物(最近は20k代)が量販店に並びますが、

 

このサイズは人間でいうと小学校低学年で、

 

写真の164kgは大人のアスリートと言ったところで、

 

星の付くお店で出されるレベルです。

 

旨味や味のボリュームは比べようもありません。

 

懐が許すなら毎日食べたい人続出のはず。

 

さて次にワイン、特にヴィンテージワインについて。

 

ここでいうワインは1990年以前の物で、

 

現在の物と味わいの違うものを差します。

 

何処が違うのかと言えば、

 

まず気候は現在よりも寒暖の差が大きく、

 

最高気温も30℃以上になることは

 

ほとんどありませんでした。

 

ぶどうの出来が良い当たり年は

 

酸味と甘みのバランスが良く、

 

出来立てでも美味しく、

 

そして美味しさが長く続きます。

 

誰でも一年かけて育てたブドウが

 

気候の影響で台無しになるのを

 

防ぎたいと願っていたので、

 

1995年頃から起きた技術革新を

 

受け入れました。

 

更に温暖化と相まって、

 

寝かせなくともすぐに飲めるワインが

 

できるようになりました。

 

ただこのすぐ飲めるワインは、

 

そのままでは美味しいのですが

 

樽の香り付が強く

 

しっかりとした味の和食などには合わせにくく、

 

‛食中酒であることを忘れてしまったワイン’に

 

なってしまいました。

 

(これは私個人の意見で、もちろん例外もありますが)

 

一方30年以上熟成させた、

 

写真のような1980年代のワインは、

 

刺身醤油を付けた本マグロの旨味を受け止め、

 

味わいを分析しながら舌の上で楽しませてくれます。

 

「マグロの美味しさをワインが教えてくれた」

 

と言っても過言ではありません。

 

若いワインと30年以上経ったワインの

 

味わいの違いはとても人間的で、

 

世の中をまだ知らない若者と、

 

世間の波のもまれ酸いも甘いも心得た大人、

 

と言えるくらい違います。

 

極端に言うと、どんな料理が出ても合わせてくれて

 

楽しませてくれます。

 

多分これを経験されている方はとても少ないはずで、

 

なぜかと言えば、マグロには日本酒と、

 

決めているところがあり、

 

この素晴らしいワインとのマリアージュを

 

お店の人すら知らないのが理由だと思われます。

 

その2へつづく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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